
「幸福度日本一」の福井県で豊かな探究学習を!
自然、歴史・文化、産業…多様な学習テーマとプログラム
「幸福度ランキング」で全国1位の福井県が、教育旅行の誘致に力を入れている。地域のつながりが豊かで、子育てや住まいの環境に優れ、子どもの学力、体力が日本トップクラスを誇るなど“日本一幸せな県”とも評価される福井県には、探究学習やSDGs学習の“学びの種”がたくさんありそうだ。北陸新幹線の金沢・敦賀開業で関東圏からのアクセスもぐっと便利に。新たな教育旅行の目的地として注目されている福井県の魅力を紹介する。
2024年3月の北陸新幹線金沢・敦賀開業により、関東圏からのアクセスが向上。乗り換えなしで東京―福井間が最短2時間51分、東京―敦賀間は最短3時間8分となった。福井県内の道路網では、26年以降に県内の中部縦貫自動車道が全線開通し、バスなどでの移動の利便性も高まる。移動手段を組み合わせれば、金沢や京都・大阪と組み合わせた教育旅行も可能だ。
福井県は、「幸福度日本一」に選出された地域の特性を前面に押し出して教育旅行をPRしている。その背景に触れてもらう探究学習のテーマは、県民の暮らしをはじめ、伝統産業やものづくり、農林水産業、歴史・文化、豊かな自然、エネルギー・環境、平和など多種多様だ。
「幸福度ランキング」とは
福井県は、「全47都道府県幸福度ランキング2024年版」で総合1位に選出されている。2014年版、16年版、18年版、20年版、22年版に続き、12年6回連続の「幸福度日本一」だ。幸福度ランキングは日本総合研究所が発表。1人当たりの県民所得などの基本指標と、健康、文化、仕事、生活、教育など全85の分野別指標で幸福度を算出し、ランキングしている。
24年版で福井県は「教育分野」で1位、「仕事分野」で4位、「生活分野」で9位。「子ども・子育て」や「経済的豊かさ」の各指標でも上位に入っている。
福井県は、「ものづくり産業を中心に安定した雇用環境があり、失業率が低く、働く女性や高齢者の割合が高い。また、子どもたちは家族や地域に見守られながら安心して勉強や運動に打ち込める環境があり、学力、体力の高さにつながっている。こうした環境で育った優秀な人材がまた福井県を支えるという好循環が、『幸福度日本一ふくい』の基盤になっている」と分析している。
ものづくり
耐久性千年といわれる越前和紙をはじめとする伝統工芸、最先端の技術で国内シェア首位のメガネフレームづくりなど、世界に誇るものづくりの技と精神に触れられる。
第1次産業
漁業、農業、林業などを生業とする地域住民との交流を通じ、自然と共存する暮らしを体感できる。県内各地で体験学習プログラムが充実している。
歴史・文化
現在も修行場として名高い曹洞宗大本山永平寺や戦国の栄華を残す一乗谷朝倉氏遺跡、多くの古刹(こさつ)や文化財が現存する若狭地方など、歴史、文化を体感できる名所が数多くある。
自然
高さ約25メートルの岩壁が続く海食崖が見られる東尋坊やラムサール条約登録湿地の三方五湖。三方五湖の一つ、水月湖には、世界にも例がない7万年の歳月をかけて堆積した「年縞」があり、18年9月には福井県年縞博物館もオープンした。また、世界三大恐竜博物館の一つ、福井県立恐竜博物館は、23年7月にリニューアルしたばかりで、化石発掘体験もできる。
食
福井県は「食育の祖」石塚左玄のふるさとで、食育のルーツがあるといわれる。また、かつて福井県はさまざまな食材を朝廷に献上した「御食国」と呼ばれる食材の宝庫で、今も独自の食文化が息づく。
「若狭三方五湖わんぱく隊」の干物づくり体験
民泊で深まる体験と交流
これらの学習テーマに触れる滞在スタイルとして最適なのが、地域住民と家族のように交流できる民泊だ。福井県での教育旅行は、旅館やホテル、民宿での滞在のほか、民泊の受け入れ態勢が充実している。受け入れ家庭に宿泊し、家業である農業や漁業を体験、調理も手伝って食卓を囲む。福井県民の暮らしに直接触れることができる。
民泊の受け入れ団体「教育旅行ふくい」の傘下には、福井市東足羽地区に16軒(受け入れ可能人数80人)、福井市西海岸地区に18軒(同90人)、越前市今立地区に15軒(60人)。「若狭路はあとふる体験」の傘下では、美浜町、若狭町に111軒(同444人)の受け入れ先がある。
民泊受け入れ家庭での団らん(教育旅行ふくい)
福井県観光連盟では、教育旅行に関する支援制度も充実させている。「教育旅行ガイドブック」などの素材は、福井県公式観光サイト「ふくいドットコム」に掲載されている。