
観光庁は、2026年度予算の概算要求額を公表した。要求額は、東日本大震災の復興枠を含めて814億円。このうち一般財源は25年度当初予算比1.2倍の107億円、国際観光旅客税(以下、旅客税)財源は同1.43倍の700億円。引き続き「持続可能な観光地域づくり」「地方を中心としたインバウンド誘客」「国内交流の拡大に向けた施策」に充てる。
人手不足対策に3億円、能登半島の観光再生支援に1億円
持続可能な観光地域づくりでは、オーバーツーリズムの未然防止・抑制などを支援する「地域一体となった持続可能な観光地経営推進事業」に9億円。宿泊業の人手不足対策を総合的に実施する「観光地・観光産業における人材不足対策事業」には25年度当初予算比で6倍となる3億円を計上し、宿泊業の魅力発信イベントや「特定技能」の試験合格者に向けたマッチングイベントの実施、受け入れ体制強化支援、外国人材活用の高度化に向けた設備投資支援などを行う。
また、24年度補正予算で計上されていた「能登半島地震からの復興に向けた観光再生支援事業」は、26年度予算では持続可能な観光地域づくりの新規事業として1億円を計上。経営高度化に向けた計画策定や人材確保、誘客促進へのコンテンツ造成を引き続き支援する。
ユニバーサルツーリズム促進は前年比13倍増の4億円
地方を中心としたインバウンド誘客では、「戦略的な訪日プロモーションの実施」に59億円を計上。コンテンツ開発、周遊・長期滞在の促進など、日本政府観光局(JNTO)を通じて実施する。このほか、来年11月1日に開始する外国人向け免税制度の「リファンド方式」への移行支援事業等にも、1億円を計上する。
国内交流の拡大では、「第2のふるさとづくり」などを推進する「新たな交流市場・観光資源の創出事業」に3億円、「ユニバーサルツーリズムの促進に向けた環境整備」は前年度予算比13倍となる4億円を計上。観光・宿泊施設の施設改修支援に加え、旅行会社への潜在需要発信やシンポジウム開催等を通して、機運醸成を図る。
東日本大震災の復興枠は6.7億円計上
旅客税財源は、出国の見込み税収額に合わせて金額を設定。具体的な使途は、予算編成の過程で決定する。観光庁の事業以外に、出入国管理、国立公園、文化財の活用など、他の省庁が実施する観光関連事業にも充当される。
一般財源、旅客税財源の他に、復興枠として東日本大震災復興特別会計で要求する観光予算に6.7億円を計上。福島県の観光復興と、東京電力福島第一原発のALPS処理水の海洋放出に伴う風評対策に充てる。