マリオットの日本戦略 マリオット・インターナショナル アジア太平洋地区(中華圏を除く) コマーシャルセールスオフィサー ジョン・C・トゥーミー氏に聞く


マリオット・インターナショナル アジア太平洋地区(中華圏を除く) コマーシャルセールスオフィサー ジョン・C・トゥーミー氏

AI活用時代へ徹底準備 ボンヴォイアプリが鍵

 ――マリオット・インターナショナルの現在の規模は。

 「143の国と地域において、30以上のブランドで9600軒以上のホテルを展開している。ロイヤリティプログラム『マリオット ボンヴォイ』の会員数は2億4800万人を超えた」

 ――日本での展開は。

 「日本では、29都道府県で、22ブランド・111ホテルを展開している。これは、日本市場への長期的な投資と確固たる成長戦略を示すものだ。昨年、スマートで独立志向の旅行者に向けたミッドスケールブランド『フォーポイント フレックス by シェラトン』を発表。都市部や地方の需要が高いエリアでの展開を進めている。ラグジュアリー分野では、今年10月2日に東京初となる『JWマリオット・ホテル東京』の開業も予定している。フェアフィールド・バイ・マリオット、モクシー、アロフト、ザ・リッツカールトン、エディションなど、地域に根差した多彩なブランドを展開するマリオットは、日本市場において、地域性とグローバル基準を兼ね備えた多様な体験の提供に注力している」

 ――マリオット ボンヴォイと他のホテルグループのロイヤリティプログラムの違いは何か。

 「マリオット ボンヴォイは、グローバルな規模、ラグジュアリーからセレクトサービスまで幅広いブランドポートフォリオ、そしてホテル宿泊を超えた多彩な体験により、他と一線を画している。会員は、五つ星のぜいたくなバケーションから、音楽フェスティバル、スポーツイベント、美食の旅など、一生に一度の特別な体験に至るまで、ポイントを使ってさまざまなリワードを楽しむことができる。さらに、マリオット ボンヴォイのエリートステータス会員には、客室アップグレード、レイトチェックアウト、ラウンジアクセスなど、実感できる特典が用意されている。また、マリオット ボンヴォイアプリは、旅行をサポートする強力なツールとして、モバイルチェックイン、キーレスエントリー、ゲスト体験をより充実させるキュレーションコンテンツなどを提供している」

 ――チャットGPTなどのAIプラットフォームで、マリオット・インターナショナルのホテルが目立つように表示され、推奨されるようにするために、どのような対策を講じているのか。

 「現在、私たちはビジネスのさまざまな分野において、意思決定支援やマーケティングの強化、顧客および業務上の課題解決、新たな機会の創出のために、舞台裏でAIを活用している。例えば、マリオットのイノベーションを推進する『デザインラボ』の一環として、最も情熱的な従業員や外部パートナーとともに、AIインキュベーターを立ち上げ、テストと検証を行っている。私たちはここ数年にわたり、オペレーションの改善、ターゲティング、パーソナライズを目的に、データの整理と構造化に取り組んできた。そして今、業界のリーダーたちと提携しながら、技術の進化とルール整備の動きに合わせて、さまざまなユースケースの検証を進めている」

 「私たちは、AI技術が成熟したときにその利点を最大限に活用できるよう準備を進めている。現在の重点領域は、(1)コンテンツ生成(創造性とスピードの向上)(2)顧客体験の強化(より迅速かつパーソナライズされた提案)(3)従業員の支援(データ活用と業務効率化によるゲスト対応の向上)―の三つだ。一方で、プライバシー、知的財産権、情報の正確性といったリスクや課題も多く存在する。マリオットでは、AIを責任ある形で活用するために、社内ポリシーや基準に準拠した活動を徹底するべく、『生成AI活用ガイドライン』を従業員に提示している」

 ――マリオット・インターナショナルとして「、消費者との継続的なエンゲージメントを維持するために、デジタル空間でどのような戦略を実行しているのか。

 「私たちは、デジタルエンゲージメントにおいて多角的なアプローチを採用している。データに基づくパーソナライズ、モバイルファーストのデザイン、そして魅力的なストーリーテリングを組み合わせることで、より深いゲスト体験を提供している。マリオット ボンヴォイアプリは、こうしたデジタル体験の中核を担っており、スムーズな予約、モバイルキーの利用、厳選されたローカル情報の提供など、利便性とパーソナライズを両立させている。さらに、SNSを通じた旅行者とのエンゲージメント、インフルエンサーやコンテンツクリエイターとの協業、パフォーマンスマーケティングの活用により、旅行計画の重要なタイミングで効果的に消費者へアプローチしている」

ジョン・C・トゥーミー氏
ジョン・C・トゥーミー氏

【kankokeizai.com 編集長 江口英一】

 
 
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