【VOICE】草津温泉の将来像を描こう つつじ亭 社長 宮嵜正雄氏


宮嵜氏

人口増への取り組みを 
職住環境の整備も必要

 群馬県の草津温泉で高価格帯の小規模旅館を父が始めて34年目。今も同じくらいの価格で営業をさせていただいています。

 今は国の高付加価値の助成金などで多くの宿泊施設が投資をされ、全国的に値段を上げやすい環境になりました。草津温泉においても当館より高価格帯の宿泊施設は増え、来年以降は高価格帯のブランド施設が数軒開業予定です。これは町にとっても草津温泉がブランディングされた結果であり、喜ばしいことです。

 草津温泉の泉質は抜群に良いのですが、山の中にあるので魅力的な食材も少なく、また、他の温泉地よりも車や電車の面でもアクセスが悪いところにありますので、観光地としての魅力的な場所ではなかったと思います。そんな中、これだけのブランディングができたのは、町長はじめ行政や町民の皆さまの努力のたまものだと思います。

 これからの草津温泉は変わっていきます。まずは雇用問題。人口が6千人しかいませんが、派遣社員、アルバイト等を入れると1万人強が住んでいます。また外国人も多く、ネパールの方だけで250人ほどが仕事に従事されています。しかし、宿泊施設や観光産業が多い町で今の労働条件や環境、働き方改革などの中では足りませんし、これからもっと施設が増えていきます。経営者として一番嫌いな言葉、人手不足になってくることは確実です。

 観光業は生活に必要なインフラ産業ではありません。このことは政府の助成金を受け投資したとしても借入額は多いでしょうし、人手がいないのでフル稼働を抑えたり、休館などを多く作って労働力を確保したとしても、実際の売り上げは落ちるし、都合よく客室が埋まってくれればよいが、なかなかそうもいかない。

 物価高の状況下、遊びに関した財布のひもは固くなるし、インバウンドにおいても円高になれば減少していくでしょう。これからはなるべく休館を減らし、フル稼働で売り上げを確保していくには人口増への取り組みを町全体で考えていく時です。

 議員でもないので突っ込んだ話はできませんが、町営住宅の整備や買い物に必要な福祉バスの増設、また、たまたま小中学校が一つに新築される話もあるので、教育面に関しても重視することも大切かと。例えば、サテライト教室を作り都会の塾の授業を受けられたり、サービス業が多いので学童の延長で「こども食堂」など併設していただければ、安心してお仕事についてくれる人が増えてくれるのではと思います。

 せっかく縁があり草津で過ごしていただける方々には草津町憲章でもある「歩み入る人に安らぎを去り行く人に幸せを」を体感と実感をしていただきたい。


宮嵜氏

 
 
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