
インドにはベジタリアンが多い
食の多様性対応というと、主に話題に上がるのがムスリムやベジタリアン、ヴィーガンですが、その他にもさまざまな食の禁忌を抱える方々も来ているのです。
そのような中で次に注目される市場がインドとなります。
インドの人口は、2023年の時点で、Worldometerのデータ(国連の最新データに基づく)で約14億3807万人と、中国を抜いて世界第1位となりました。そして、2025年7月30日時点で約14億6483万人、2050年には約16億6800万人、または16億8千万人、あるいは17億人に達すると見込まれております。
そして、人口構成の面では、インドは現在「人口ボーナス期」の真っただ中にあります。これは、生産年齢人口(15歳~64歳)の割合が高く、経済成長に有利な人口動態を意味します。国連によると、今後30年間に世界の労働市場に参加する年齢層の2%がインド人になるとされています。この人口ボーナス期は2040年代後半まで続くと見られています。
このような観点からも今後の訪日インバウンドの大きな市場といえます。
事実、日本政府観光局(JNTO)の試算では、インドからの訪日客の潜在市場は3千万人。JNTOの評価ではこの潜在市場規模は中国、韓国、米国に次ぐ大きさであります。その中でも注目ポイントは、インドからの旅行の主な目的が一般的な訪日外国人(79.2%が観光・レジャー目的)とは異なり、インド人旅行者の51.8%が「業務」(展示会・見本市、国際会議、企業ミーティング、研修、その他ビジネス)を目的としています。観光・レジャー目的は27%にとどまります。
この傾向は、ビジネス目的での訪問が、後に個人や家族でのレジャー旅行につながる重要な入り口となっている可能性を示唆しています。ビジネスで日本の質の高いサービスや文化に触れた旅行者は、その経験を通じて日本への関心を深め、将来的なレジャー旅行の動機付けとなることが期待されます。
しかし、インドからの訪日客の受け入れで大きな課題がさまざまな宗教にまつわる食の禁忌です。2011年国勢調査による宗教別人口分布は以下の通りです。ヒンドゥー教徒79.8%、イスラム教徒14.2%、キリスト教徒2.3%、シク教徒1.7%、仏教徒0.7%、ジャイナ教徒0.4%。全体の人口の約30~40%がベジタリアンといわれています。そうなると、もし3千万人来るとなると、1千万人近いベジタリアンが訪日するということになるのです。さらに、その中にもさまざまなベジタリアンがいます。次回は、その辺にも触れていきたいと思います。
(メイドインジャパン・ハラール支援協議会理事長)
インドにはベジタリアンが多い