
承継へ最大の課題は後継者の選定、育成
大同生命が7月25日に発表した中小企業経営者アンケート「大同生命サーベイ(2025年6月度調査レポート)」によると、事業承継を望んでいる中小企業が半数以下に減少し、約7社に1社が廃業を予定していることが分かった。
大同生命サーベイは、同社が2015年10月から定期的に実施。中小企業の景況感や経営課題の解決に向けた取り組みなどをテーマに調べ、結果をレポートとして取りまとめ発表している。
今回発表した調査は、今年6月2~27日に、全国6240社の経営者を対象に、同社営業職員の訪問もしくはオンライン面談により実施。定例調査である景況感に加え、事業承継について、各人に意向や意識を聞いた。
これによると「事業承継したい(後継者決定済み)」「事業承継したい(後継者未定)」「事業承継したい(M&Aを検討)」と回答した企業は47%。昨年5月の前回調査よりも8ポイント減少した。「廃業予定」「事業承継したいが廃業予定」との回答は14%で前回調査よりも4ポイント増加した。従業員規模別でみると、21人以上の企業では廃業予定が2%程度にあるのに対し、5人以下の企業では24%が廃業予定であるとした。
事業承継についての意識を聞くと、「従業員や取引先などの関係者のために必要」との回答が44%で最も多く、以下「取り組んできた事業を次の世代へつなぐために必要」(33%)、「会社のさらなる発展のために必要」(29%)、「計画的に準備することが必要」(28%)と続いた。
事業承継の課題については、事業承継をしたい企業のうち、後継者が決定済みの企業は「後継者の育成(経営者としての知識・スキル)」、後継者未定の企業は「後継者の選定・確保」、M&Aを検討している企業では「従業員の理解」が一番の課題となった。事業継承を未検討の企業では「後継者の選定・確保」を課題に挙げた企業が多かった。
事業承継対策と取り組みたい対策については、「後継者の育成」が最も多かった。「対策はしていない」との回答は、2番目に多かった。
後継者決定済み企業1916社に後継者の属性を聞くと、71%が「子」だった。以下、「親族以外の役員・従業員」(15%)、「子以外の親族」(10%)と続いた。
後継者の育成方法については「経営者自身の伴走」が最も多く70%。以下「多くの部署での業務経験」(22%)、「後継者同士のコミュニティへの参加」(21%)だった。