【交通トレンド分析291】空港アクセス、二つの鉄道もしくはモノレールがあると安心 鳥海高太朗


 6月10日に成田空港へ行く用事があり、本来であれば東京駅から成田エクスプレスに乗車しようと思っていたところ、自宅を出る直前にJR総武快速線の一部区間が運転見合わせで急きょ、日暮里駅へ移動し、京成スカイライナーで成田空港へ向かった。

 この日には飛行機に乗る予定ではなかったので、私自身が焦ることはなかったが、成田エクスプレスや快速などJRに乗車予定だった人が日暮里駅に向かったことで、スカイライナー券売場には長い列ができていた。私自身はスカイライナーのインターネット予約サービスでライナー券を並ばずに購入できたが、外国人観光客の多くは並んでいた。幸いなことに直近のスカイライナーも残席は少なかったが、満席ではなかったのは不幸中の幸いだった。このような形で空港アクセスの鉄道も時々、運転見合わせによる影響が出るが、やはり同じ空港に複数の鉄道(モノレールを含む)が乗り入れるメリットはリスク分散の意味でも重要である。

 日本国内では、羽田空港は東京モノレールと京浜急行、前述の成田空港はJRと京成電鉄が乗り入れており、京成電鉄については成田スカイアクセス線経由と京成本線経由の2ルートがあり、実質3路線が乗り入れていることになる。さらには大阪の関西空港もJRと南海電鉄が乗り入れている。

 それ以外では、新千歳空港ではJR「快速エアポート」、仙台空港では仙台空港アクセス線。中部空港(セントレア)では名鉄線、伊丹空港では大阪モノレール、神戸空港ではポートライナー、福岡空港では福岡市営地下鉄、宮崎空港ではJR線、那覇空港ではゆいレールが乗り入れているものの、一つしか鉄道やモノレールが乗り入れていない。

 トラブルが発生すると、基本的にはバス利用もしくはタクシーを使うことになる。羽田空港や伊丹空港のようにバスがたくさん乗り入れている空港やタクシー代が高額ではない福岡空港など、市内中心部の至近距離にある空港であれば影響は最小限で済むが、都市部から離れた空港で鉄道でのアクセスが中心となっている空港(セントレアや新千歳空港など)だと、バス自体の本数が少なく、代行バスが出ることもあるが、時間も要することでスケジュールに大きく影響が出てしまう。そういった意味でも二つ以上のモノレールを含めた鉄道がある空港の利便性は高く、どうしても特に利用者が多い空港でないと難しいが、よく利用する空港については、複数のアクセスを頭に入れておくとトラブル時に役立つことになる。

(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
 
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