
Uber Japan株式会社は2025年7月24日より、オンライン配車アプリ「Uber」において、シニア世代向けの新機能「Uberシニア」および「シンプルモード」の提供を開始すると発表した。配車アプリ業界では国内初となる高齢者向けアカウントの導入により、シニア世代のモビリティ支援を強化する。
シニア世代のデジタル利用拡大に対応
近年、70代のスマートフォン保有率が8割を超えるなど、シニア世代のデジタル利用が着実に高まっている。また、免許返納の動きが全国的に進む中、通院や買い物といった日常生活の移動手段としてタクシーを必要とする高齢者も増加している。
「Uberシニア」は、そうしたシニア世代がより簡単に配車サービスを利用できるよう設計された機能だ。2025年6月に米国で提供が開始され、現在は日本を含む世界約70カ国で導入が進んでいる。
「シンプルモード」で操作をより簡単に
今回新たに導入される「シンプルモード」は、アプリのインターフェースをシンプル化し、必要最小限の情報とアプリ操作だけで配車手配ができる機能だ。通常のアプリ画面と比較して情報量や視覚的な負担が少なく、文字やアイコンのサイズも大きく表示される。
また、事前に登録された乗車・降車地点を選びやすく設計されており、スマートフォン操作に不慣れな高齢者でも日常的なタクシー移動を簡単に手配できるようになっている。
家族による支援機能も充実
「Uberシニア」には、昨年末に提供が開始された10代向け機能「Uber Teens」と同様に、家族がシニアユーザーのサポートを行える機能が多数備わっている:
-
乗車・降車場所の保存: 自宅や病院、スーパーなどよく利用する場所を事前に登録しておくことで、数回のタップだけで配車手配が完了する。家族が遠隔で場所を登録することも可能。
-
柔軟な支払い方法: 本人だけでなく、家族名義のクレジットカードなどを支払い方法に設定でき、家族アカウントを通じた柔軟な支払い管理が可能。
-
リアルタイムトラッキング: 家族がシニアユーザーの乗車状況をリアルタイムで確認でき、到着が遅れる場合も通知を受けられる。
-
家族サポート機能: 家族が代わりに配車手配や目的地の設定・変更、ドライバーとのチャット対応を行うことができる。
Uber Japanの展開状況
Uberの配車サービスは現在、世界70カ国・1万都市以上で提供されており、約50言語に対応したアプリを通じてグローバルな移動体験を提供している。
日本では、Uber Japan株式会社が国内約500社のタクシー会社と提携し、29都道府県で「Uber Taxi」を展開。また札幌市・東京23区・成田市・京都市・大阪市では「Uberプレミアム」のサービスも提供している。さらに京都府京丹後市や石川県加賀市など一部地域では、自治体とのパートナーシップによる公共ライドシェアや、タクシー会社とのパートナーシップによる日本版ライドシェアも展開されている。
Uber Japan代表の山中志郎氏は「シニア世代の皆さまから、『アプリを使ってみたいがスマートフォンの操作に不安がある』という声を多くいただいていました」と述べ、「見やすく、使いやすいインターフェースを通じて、シニアの皆さまがより自由に、そして安心して移動できるようサポートすることを目指しています」と新機能の意義を強調している。
「Uberシニア」の利用にあたっては、家族が家族アカウントを作成してシニアメンバーを招待し、シニアメンバーがUberアカウントを作成(または家族が代理で作成)する流れとなる。家族アカウントの管理者は必要に応じて月間使用上限額を設定することも可能だ。
Uberは「誰もが必要なときに、必要な場所へ移動できる社会の実現」を目指し、今後もサービスの拡充に取り組んでいくとしている。