【交通トレンド分析287】JR東日本、秋田・山形・新潟へ60%割引の新幹線タイムセールの衝撃 鳥海高太朗


 5月12日(月)に衝撃が走った。JR東日本は、東京・上野・大宮駅発着の秋田新幹線「こまち」(雫石―秋田)、山形新幹線「つばさ」(米沢―新庄)、上越新幹線「とき」(浦佐―新潟)限定で、JR東日本のネット予約サービス「えきねっと」で購入できる「新幹線eチケット(トクだ値)」で購入すると最大60%割引となる「タイムセール60%割引」を発売した。6月2日~22日乗車分が対象となり、6月2日~11日までは5月22日午前5時から、12日~22日までは5月23日午前5時から発売された。

 6割引というのは衝撃的で、片道の指定席(新幹線eチケットの通常期)との比較で、東京―秋田間で片道1万7820円のところ7120円、東京―山形間で片道1万1250円のところ4490円、東京―新潟間で片道1万560円のところ4210円という破格の値段で、高速バスと変わらないか、場合によっては高速バスよりも安い金額になっている。往復しても秋田まで1万4240円、山形まで8980円、新潟まで8420円で行けるのであれば、気軽に旅をするのにも最高の金額で、宿泊してもいいし、日帰りで訪れてもいいだろう。執筆の時点では発売前だが、列車・席数が限定されていることから、かなりの争奪戦になったことは容易に想像できる。

 今回、JR東日本の新幹線eチケットにおいては初めてのタイムセールであるが、衝撃的なことがいくつかある。

 まずは、期間限定の半額キャンペーンなどこれまでも実施されてきたが、全て乗車日1カ月以上前には発表されており、通常の指定席券同様に1カ月前の午前10時に発売されていたが、今回のタイムセールでは乗車日1カ月前を切った段階での発表・発売であり、今回のタイムセールの利用初日になる6月2日のチケットが、乗車11日前の5月22日から発売となった。乗車日直前での新幹線の割引は異例ともいえる。

 さらにタイムセールの発売が5月22日もしくは23日の午前5時からというのも衝撃で、ANAやJALなどの航空会社では深夜0時からセール運賃が発売されることはよくあるが、新幹線のチケットが朝5時から販売されることも異例ともいえる。

 こういった直前でのタイムセールの発売はJRにとっても画期的であるとともに、GW明け~夏休み前の6月末までは、国内旅行においては梅雨の時期とも重なるなど閑散期となる点も含めて、地方の活性化にもつながる。さらに停滞している日本人の旅行喚起にもなるなど、プラスしかないだろう。こういったセールが閑散期を中心にこれからも販売されることに期待したい。

(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
 
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