
シンポジウムの様子
横浜を中心としたホテル営業担当者の情報交換組織「ホテル・セールス・ネットワーク会」(HSN会)は7月29日、第80回記念大会をウェスティンホテル横浜(横浜市西区)で開いた。周辺のホテル事業者や自治体関係者など、約50団体が出席。「横浜地区のホテルセールスについて」と題するシンポジウムが行われ、HSN会設立メンバーが、自館の特徴や観光地・横浜の今後のあるべき姿について意見交換を行った。
MM21地区完成間近も、連泊や訪日誘客など課題も
HSN会は、1999年設立。80回目となる今回の記念大会は、同会設立時に幹事を務めたメンバーとして、HSN会会長の鈴木均氏(ウェスティンホテル横浜、セールスマネージャー)、永田洋久氏(ザ・カハラ・ホテル&リゾート横浜、営業部チーフ)、莇久徳氏(ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル、営業部セールスマネージャー)の3氏が登壇。モデレーターを務めるHSN会顧問(前会長)の石原健氏とシンポジウムに望んだ。
3氏は同会の設立以降、さまざまな施設で営業を経験したのち、現在はみなとみらい21地区(MM21)でホテルセールスマンとして勤務している。
同地区の特徴について鈴木氏は、コンベンション施設が充実しており、都市開発も完了間近になっているとコメント。ホテルの新規開業が多数予定されていることもプラス要素だとした。永田氏と莇氏も、同地区がアーバンリゾートとしてさらに発展し、横浜の中心部になりつつあることに期待を示した。
鈴木氏(ウェスティンホテル横浜)
永田氏(ザ・カハラ・ホテル&リゾート横浜)
莇氏(ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル)
一方、3氏は同地区のホテルは駅から離れていること、特にパシフィコ横浜などのコンベンション施設も中心部から離れていることで、市街地にぎわいの偏りがあることが課題とした。
横浜観光の現状と今後について鈴木氏は、「当館では東京からのお客さまが多いが、東京から来ても、(横浜を)通り過ぎて鎌倉などに行ってしまうのが通例となっている。(今は)ホテルが多く完成し、それを呼び止められる状況にある。横浜市観光協会さんと話し合い、横浜で泊まってもらえる仕組みを作ってもらいたい」と要望。クルーズ客の積極的な誘致も横浜港振興協会と進めている状況を報告した。
永田氏は、市内の平均宿泊数が1.3泊であることに言及し、その要因として「2日間泊まって観光する場所(仕組み)がない」と指摘。横浜に連泊してもらい、ホテルを起点に神奈川の他都市や東京を周遊してもらうほか、ナイトタイムエコノミーの中心部である関内や野毛で、周遊パスなどを活用した周遊を提唱した。
莇氏は、都内がインバウンドでにぎわう一方、横浜はまったく訪日客がいない現状を指摘。訪日集客に注力するのであれば、大型イベントを含めた誘致が必要だと主張した。
目標は人材育成、「自分を売る」楽しさを若い世代に
終盤には、3氏が今後の目標やビジョンを共有。
鈴木氏は「当館に入社してくる若手の営業マンの育成も一つ(目標に)据えたい」とコメント。永田氏も「次の世代の育成は課題だ」とし、積極的に人材を採用する意向を示した。
莇氏は、「今は新しい営業手法も増えているが、最後はやはり人と人がコミュニケーションをとるのがセールスだ。無形のものを販売するのは難しく、人を、自分を売らないといけない」と強調。若い世代に向けて、ホテルセールスが面白いということを伝えていくと意気込みを語った。