「宿のユニバーサル化の必要性」 温泉エッセイスト・山崎まゆみさんが講演 


山崎さんが講演

 全旅連シルバースター部会は7月23日、総代会に先立ち、全旅連会議室(東京都千代田区)で研修会を開いた。温泉エッセイストで跡見学園女子大学兼任講師の山崎まゆみ氏が、「なぜ、いまユニバーサルデザインの宿が必要とされるのか 収益性を上げるために必要なこと」と題して講演を行った。

 高齢者や障がい者など誰もが安心して入浴できる温泉の普及やユニバーサルツーリズム推進に取り組んできた山崎氏は、「これからの宿は、ハード面以上にソフト面の充実が大切」と強調。ハートビル法の施行(1994年)からバリアフリー法の制定(2006年)・改正(18、20年)といった法整備の経緯や、観光庁が20年に創設した「心のバリアフリー認定制度」を紹介し、ソフト面での実質的な配慮がさらに求められる時代になってきたことを説明した。

 地域全体でソフト面の整備に成功した例として、観光・宿泊業が主導した山形県天童温泉、福祉事業者が主導した山梨県石和温泉の取り組みを紹介。「観光と福祉のハイブリッド」が重要だとしつつも、宿泊業が主導する体制が理想であり、持続可能な整備に結び付くと述べた。

 また、宿の収益性を高める工夫として備品の整備を挙げ、「必要な備品をそろえておき、必要なときに設置できる柔軟な対応が重要」と指摘。備品を着脱式にする、宿泊者の要望に応じて調整可能にする、必要なものを選べるようにする―などの具体的な方法を提案した。

 最後に山崎氏は「ユニバーサルツーリズムの裾野を広げていくには愛されるための言葉や人の心に届くサービス、利用したくなるトラブルを生まない発信が大事」と助言。「3世代旅行」や「親孝行温泉」などの親しみやすい表現を使うほか、段差の有無や通路幅といったハード面でのネガティブな要素も含めた詳細な”見える化”による情報発信が、利用者の安心感と信頼性の向上につながると説明した。


山崎さんが講演

 
 
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