
協定締結式に臨んだ、中村知事(写真左)と村田理事長
愛媛県は18日、全国古民家再生協会(東京都千代田区、村田智仁理事長)と、古民家や空き家などの地域資源を活用した観光促進や地元経済の活性化などを目的にした包括連携協定を結んだ。提携により同県全域で古民家を利用した民泊施設の整備などを後押しし、訪日客の誘客などによる持続可能な地域経済の活性化を図る。
同県が昨年連携協定を結んだAirbnb Japanと古民家再生協会が連携した取り組みを進めていることなどから、今回の提携に至った。
連携するのは(1)古民家などを活用したインバウンド誘客促進と地域活性化に関すること(2)古民家などの保全・再生および利活用にかかわる相談や助言に関すること(3)古民家などを活用した移住定住の促進に関すること―など。
同日松山市興居島の古民家宿傳次denjiで開いた協定締結式には、中村時広県知事と村田理事長、同県と昨年4月に連携協定を結んだAirbnb Japanの田邉泰之代表はじめ、興居島や民泊の関係者らが出席。
あいさつした中村知事は「松山空港にはソウル便など国際便が4航路就航するなど、アジア圏からのアクセスが良くなり来訪客も順調に増えているが、東予、南予を開発していかなければリピーターを呼ぶことはできない。また欧米豪からの観光客獲得も大きなテーマだ」とインバウンド施策についての考えや、Airbnb Japanとの連携の成果などを説明。さらに同県の空き家率が全国でも上位であることに触れ、「興居島のような古民家活用の好事例が全県に広がることを期待したい。素材はたくさんある。当県の可能性のあるところをアドバイスいただければ」と連携への期待感を語った。
村田理事長は、耐震性などの問題から敬遠されてきた古民家が、インバウンドなどの「日本の文化に触れたい」といったニーズの中で価値が再認識され始めている状況を説明。「都道府県との協定締結は初めて。提携により、古民家が建築的、不動産的にも壊さずに活用できるものだということを、愛媛県はもちろん全国に発信していければいい。これを契機に取り組みが各地に派生していき、古民家活用が進んでいけば」と語った。
締結式に先立ち、中村知事は同島内で古民家をリノベーションして営業している民泊施設やマイクロブルワリーのほか、新たにできた情報発信・物産販売施設「島の駅ごごしま」などを視察した。
協定締結式に臨んだ、中村知事(写真左)と村田理事長