「温泉文化」の保護、継承へ 「国民会議」が発足 ユネスコ登録へ弾み


記念撮影に応じる役員ら。左から渡邊幾雄・日本旅館協会副会長(桑野副会長の代理出席)、多田副会長、青柳会長、井上会長代行、前田理事

 「温泉文化」の保護や継承を目的とした「『温泉文化』国民会議」が7月29日、発足した。発起人による設立準備会が同日、東京の全国旅館会館で開かれ、規約と役員を決定。会長には「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産全国推進協議会会長で元文化庁長官、多摩美術大学理事長の青柳正規氏が就いた。今後、業界関係団体・企業などを対象に会員を募集。温泉文化に関する調査・研究や普及啓発など各種の事業を行い、業界が推進する温泉文化の最短2028年のユネスコ無形文化遺産登録に向けて弾みをつけたい構えだ。

 「(温泉文化は)長い歴史を有する、日本固有の文化であり、世界に誇るべき文化である。(中略)しかし、その温泉地の数は、人口減少・高齢化・後継者不足などにより、2010年をピークに減少傾向にある。また一方で、インバウンド需要の増加に伴い、日本の温泉(ONSEN)は、ますます世界から注目を集めている。今、日本固有の文化である温泉文化を守り、次代へとつなげていくことが必要になっている」

 「ここに、温泉の施設関係者、研究者、温泉地の地域コミュニティの関係者など、日本全国の温泉に携わる人々が集い、多くの方々の賛同を得ながら、温泉文化の保護やその継承を推進し、未来へと発展させるための活動を行っていく」

 設立準備会ではこれら会の「設立趣旨」と、目的、事業、会員の構成などを記した規約、青柳氏を会長とする役員人事を決定した。
 事業は温泉文化の「適切な保護・継承のために必要な情報収集に関する事業」「調査・研究に関する事業」「普及啓発に関する事業」「情報発信に関する事業」など6項目。会の設立を記念したイベントも開催する予定だ。

 会の目的に賛同する正会員、賛助会員、特別会員を募集する。正会員は全国の温泉協会や旅館・ホテルなど、温泉文化の保護、継承に関わる団体・事業者、賛助会員は旅行業関係団体・企業など、特別会員は県、市町村などの自治体を想定している。

 青柳会長は「多くの温泉に携わる人々とともに、温泉文化の歴史や伝統を重んじ、その持続可能な発展を促進することに寄与したい。まずは組織体制を強化し、温泉文化を愛する日本の皆さまの賛同を得て、各活動を実施してまいりたい」とあいさつ。

「温泉文化」の最短2028年のユネスコ無形文化遺産登録を目指す活動については、「これまでの流れでは、今年、国内候補が決定する。早期登録を実現するために、引き続き全国で一丸となり、全力で登録推進に取り組んでまいりたい」と述べた。

 会長代行に井上善博氏(全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会会長)、副会長に桑野和泉氏(日本旅館協会会長)と多田計介氏(日本温泉協会会長)が就任した。

各氏も「有識者検討会(温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録に向けた検討会)で温泉文化の定義、担い手が整理され、本日、保存団体が設立となれば、ユネスコへの提案に向けた準備がおおむね整ったと考えられる。2028年の登録を実現するため、引き続き全国の温泉関係者と一致団結して取り組んでまいりたい」(井上氏)と改めて意欲を示すとともに、登録への力となる同会の発足に強い期待感を示した。

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 「温泉文化」国民会議役員(敬称略、カッコ内は所属・役職)

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