
概要を説明する砂田氏
毎月定額でコインを購入し、たまったコインで旅行・宿泊予約ができる旅のサブスクサービス「HafH(ハフ)」。運営企業のKabuK Style(砂田憲治代表取締役)は7月23日、東京都内で会見を開き、8月1日に同サービスのコンセプトを「旅のサブスク」から「つみたて旅行サービス」にリニューアルすると発表した。これに合わせ、毎月のコイン積み立て額を柔軟に設定できる「ウォレット機能」を開始。自分のペースで賢く旅を積み立てる体験を提供する。
「旅のサブスク」から「つみたて旅行サービス」へ
KabuK Styleは、トラベルフィンテック企業として2019年に創業。同社が提供するハフは、毎月定額で「コイン」を積み立て購入し、たまったコインで世界中の宿泊施設に滞在できるサービスで、今年5月末時点で国内外の1万5千施設と提携している。サービスはこれまで日本、韓国、台湾の3カ国で展開しており、会員数は13万人以上となっている。
今回のリニューアルでは、これまで2種類用意していた定額積み立ての料金体系を見直す。従来の「スタンダードプラン」(月額9800円で毎月300コイン付与)、「ベーシックプラン」(月額2980円で毎月80コイン付与)を改め、新たに「ウォレット機能」を開始。8月1日以降はコイン単価を一律32円とし、毎月100~2000コインを50コイン刻みで自由に積み立て設定できるようになる(別途基本料金月額200円が発生)。
使わなかったコインには、年率最大12%のコインが還元
ウォレット機能の導入に合わせ、コイン残高に応じた特典「ウォレットボーナス」も導入。使わなかったコイン残高に対して、年率最大12%のボーナスコインを毎月付与する。年率は会員ランクに応じて異なり、継続月数3カ月未満の「レギュラー会員」は1%、同3カ月以上の「シルバー会員」は3%、同6カ月以上の「ゴールド会員」は6%、同12カ月以上の「プラチナ会員」は12%の年率で、ボーナスコインが付与される。
同社代表取締役の砂田氏は、コンセプトリニューアルの背景について、定額で使い放題というイメージのある「サブスク」という言葉とサービスの実態にギャップがあったと説明。多くのロイヤルユーザーと1年間にわたるディスカッションを経て、コンセプトの刷新に至ったと報告した。
ハフのサービスの強みについては、価格・ユーザー行動・キャンセルリスク、それぞれの推定が可能なAIアルゴリズムによって、「前日までキャンセル無料」「安定した価格設定(ワンプライスで価格が変動しにくい)」を可能としたことにあると説明。こうしたユーザー側の不安を徹底的に解消することで、客室選択→日程選択→確定、のわずか3クリックで予約が成立できるユーザー体験を提供しているとした。
LINE対応のAIコンシェルジュ「ハフっち」も提供開始
同社は、LINE対応のAI旅行コンシェルジュ「ハフっち」も7月30日にリリースする。LINE上で気軽に旅行相談できるサービスで、都市ごとのおすすめの滞在方法など、AIがハフの宿泊データや旅行体験をもとに、最適な情報を提供する。
砂田氏は同サービスについて、「特化型AIのため、検索している範囲が非常に限定的で、スピードが速い」と説明。Google mapも活用したサービスで、地図上でおすすめの宿泊施設の検索が可能となっている。公式LINEを追加することで、ハフ会員以外にも簡単に誰でも利用できる。
4カ国目としてアメリカでもサービスを開始
砂田氏は、サービス展開の4カ国目として米国市場に参入することも発表した。すでに「KABUK.com」の名称で、7月にベータ版をリリース。「(米国からの)インバウンドが伸びているほか、一人当たりの消費額も非常に大きい。日本企業で世界を取りに行こうといったとき、絶対に避けては通れないマーケットだ」と砂田氏。早期から米国市場に参入し、実績を残す重要性を強調した。
本格ローンチに先立ち、SNSでの告知も展開。YouTubeでのサービス説明動画は22万回以上再生されていると報告した。「(米国ユーザー向けに)すでに事前登録を始めているが、1000件を突破した。すべて予約が成立すると、6億円相当になる。日本に行きたいというアメリカ人の方は非常に多く、今のサービスに満足していないということなのだと思う」と砂田氏。日本企業が独自ブランドを掲げて米国で挑戦することへの期待に応えていく意気込みを語った。
概要を説明する砂田氏