
7月13日、大阪・関西万博は開催期間の半分が終わり、折り返しを迎えた。19日には唯一未完成だったネパール館もオープン。全てのパビリオンが完成したことで、後半戦に向けての盛り上がりが期待される。
一般来場者は12日までに1千万人を超え、2005年の愛知万博より10日ほど早いという。チケット販売も順調のようだ。
過去の万博では会期後半に来場者が増加する傾向にある。博覧会協会は運営費の黒字を確保できる来場者数は約2200万人と試算しており、これからどこまで増えるか、博覧会協会の手腕が問われる。来場者に満足感を与えるため、全力を尽くしてもらいたい。
その一つが暑さ対策だ。梅雨明けし、本格的な夏が始まる(すでに始まっている)が、とりわけ厳しい暑さが予想されるだけに、万全の対策を講じる必要がある。
そのためには当初掲げた「並ばない万博」の実現だ。入場やパビリオンは原則予約制だが、入場時や人気のパビリオンでは数時間並ぶのがいまや常態化している。そもそも会場には日陰は少なく、行列に並ぶ間は強烈な日差しにさらされることになる。熱中症で救急搬送される人もこれから増えそうだ。
博覧会協会では無料の給水所の増設や日傘の貸し出し、日なたにはパラソルや送風機を設置するなど対策を講じているが、行列解消のため、整理券の配布といったことも検討してはどうか。
住友館はラインアプリで「抽選式デジタル整理券」システムを導入するという。当選、落選があるが、安全面への配慮や混雑回避に一定の効果がありそうだ。
来場者の、開催地以外のエリアにどう誘導するかが観光業界の課題となっていたが、目立った動きをあまり聞かない。
そんななか、西日本、九州への誘客を掲げる西のゴールデンルートアライアンス(会長、高島宗一郎・福岡市長)は11日、万博会場で記者会見し、アライアンスに参加する4市の首長が各地の多彩な観光コンテンツをPRした。
博覧会協会では、万博の効果を全国に波及させるため、各地の体験商品を予約・決済まで一貫して行える公式観光ポータルサイトを多言語で展開している。約1300件の商品が申請され、西のゴールデンルートエリアからは約750件あり、全体の6割を占めているという。連携が具体的に進んでいるとしている。
万博の開催意義を問い直し、将来にどう生かすか。残り3カ月、観光業界の奮起を望みたい。
万博も残り3カ月。閉幕後に何を残せるか、観光業界にとっても正念場だ(行列の絶えないパビリオン)