
日本旅行業協会(JATA)は10日に記者会見を開き、アウトバウンド促進協議会(JOTC)東アジア部会韓国ワーキンググループの活動の一環として韓国観光公社(KTO)と共同で取り組んでいる訪韓客拡大施策について、2025年度の方針を発表した。今年度は「韓国絶景30選」などを活用した旅行商品の企画コンテスト、伝統行事「落火ノリ」の日本人向けイベントなどを展開。新規ターゲット層への販売促進施策も実施する。
コロナ禍後、訪韓日本人の数は順調に回復しているものの、依然としてソウルへの一極集中が続いている。こうした現状を受け、今年度は、(1)企画商品施策(2)団体施策(3)咸安(ハマン)での伝統行事「落火ノリ」のジャパンデーの三つを軸とした送客拡大に取り組む。
「韓国絶景30選」など生かした企画コンテスト実施
企画商品施策では、JATA会員各社を対象に、「韓国絶景30選」「韓国絶品グルメ30選」を最低1カ所組み込んだ商品の販売コンテストを実施。4月1日から11月30日出発の募集型・受注型企画旅行、オプショナルツアーが対象で、商品の魅力度、告知方法、集客人数などを審査。最も優れた商品には「韓国観光公社賞」1点が送られる。
団体施策も、「韓国営業王」コンテストを昨年に引き続き実施。1月6日から26年12月31日出発までの受注型企画旅行および手配旅行が対象で、期間中の送客人数に応じて審査。営業担当者ごとに最低10人以上の団体を2本以上送客することが条件となる(100人以上の大型団体は1本のみ可)。全国を8エリアに分け、各エリア1~3位までの担当者を「優秀セールス担当者」として表彰する。
10月には「咸安の落火ノリ(ジャパンデー)」開催
これらに加え、今年10月16日には「咸安の落火ノリ(ジャパンデー)」を、慶尚南道咸安郡の無尽亭(ムジンジョン)で開催する。落火ノリは、木炭粉を紙や布で棒状に編んだ「落火棒」をひもに下げて点火する伝統的な火祭りで、慶尚南道の無形遺産にも登録されている。日本人のみを対象として行うのは昨年に続いて2回目で、今年は日韓国交正常化60周年を記念し、昨年より規模を拡大。集客目標は前回から400人増の1千人を目指す。
これら三つの注力施策に加え、新規ターゲットとしてファミリー層と団体旅行者層へのマーケティング強化を軸に各種施策も展開。テーマパークやK―POPカルチャー、美容コンテンツなどの素材を活用した商品造成を行い、ファミリー層の呼び込みを強化する。従来のコアターゲットである日本人女性向けには、美容医療に関する展示会を東京都内で10月に予定している。
KTOの金観美東京支社長は、「最近は男性も韓国の美容コンテンツに関心が高いと聞く。従来の女性層だけではなく、幅広い世代に韓国でのいろいろな楽しみ方があることを知ってもらいたい」と訪韓施策への意気込みを述べた。
概要を説明するKTO東京支社長の金観美氏