そうめんの可能性を追求し、文化継承と地域活性化に貢献 – 日本ソーメン学会が設立


ソーメン二郎会長(右)と青木事務局長

 日本ソーメン学会(会長=ソーメン二郎:ソーメン研究家、事務局長=青木洋高:文教大学国際学部国際観光学科専任講師)は7月7日(ソーメンの日)に「日本ソーメン学会設立 記念パーティー」を都内で開いた。同パーティーは東京都渋谷区の東京カルチャーカルチャーで開催され、ソーメン関連の研究者や学生、製造者、メーカー、飲食店、小売店などさまざまな立場の参加者が集まった。

 日本ソーメン学会は「ソーメンに関する研究の促進を図り、もってソーメン産業・ソーメン文化の発展およびソーメンを活用した地域活性化に貢献する」ことを目的として設立された。愛称は「そ学会」。会長を務めるソーメン二郎氏は奈良県桜井市出身で、三輪素麺製麺所の家系に生まれ、全国の手延そうめん製麺所を訪ねる活動を行ってきた人物だ。

 

鹿児島、奄美大島、沖縄で根付く豊かなソーメン文化

 記念パーティーでは、会長のソーメン二郎氏から、日本で特にソーメンが消費されている地域として鹿児島、奄美大島、沖縄が紹介された。これらの地域ではそれぞれ特徴的なソーメン文化が根付いていることが説明された。

 鹿児島ではそうめん流し(鹿児島では「そうめん流し」と呼ぶ)の文化があり、その歴史は江戸時代にまでさかのぼるという。また奄美大島では「油そうめん」という郷土料理が親しまれており、沖縄では「そうめんちゃんぷるー」が年中食べられているという。沖縄では家庭でも外食でも一年中ソーメンが食べられており、各家庭にソーメンが常備されているとした。

 ソーメン二郎氏は沖縄のソーメン文化について「沖縄に5年くらい通っていて、居酒屋で隣になった人にそうめんの話をしたら『私、そうめん大好きでばあさんが作るそうめんちゃんぷるーが大好き』とずっと話してもらった。めちゃめちゃそうめん愛を感じる」と語った。

 特に興味深いのは、宮城県の白石うーめんが短い9cmのソーメン(通常のソーメンは19cm)であり、あんかけスタイルで食べるという点だ。これは台湾の麺線に近い食べ方だという。

 

外国人へのソーメン魅力発信も視野に

 パーティーでは、そうめん専門店「そそそ」を運営する安藤成子氏と「阿波や壱兆」の元女将である田中嘉織氏による対談も行われた。安藤氏は2018年に恵比寿で「そうめんそそそ」をオープンし、現在は渋谷のヒカリエ内に「そうめんそそそ研究室」を展開している。田中氏は2009年に「阿波や壱兆」を開業し、そうめんを盛り上げる活動を行ってきた。

 対談では、外国人客の反応についても触れられ、安藤氏はニューヨークで流しそうめんを披露した際に「すごいそうめんフィーバーが起きた」と報告。田中氏も「癖のない麺なので皆さん何の抵抗もなく召し上がります」と述べ、外国人にもソーメンが受け入れられる可能性を示した。

 また、文教大学の学生らによる発表も行われ、「Z世代のトレンドになるためのそうめん」「訪日外国人にソーメンの魅力を伝えるには」「ソーメンを美味しく食べるアイデアグッズ」という3つのテーマについて提案があった。

 Z世代向けの提案では「そうめんラボ」というキッチンカーが紹介され、学園祭やフェスなどでZ世代に直接アピールする方法が提案された。また訪日外国人向けには、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を通じた体験プログラムが提案された。

 日本ソーメン学会の主な活動内容は、機関誌や学術論文集の発行、研究発表会や学術講演会の開催、調査研究、国内外の諸団体との交流、研究の奨励と業績表彰など。

 会員は個人会員(年会費7,000円、学生は3,000円)と法人・団体会員(年会費50,000円)の区分がある。会員募集は公式ホームページ(https://somenlove.com/)から受け付けている。

 ソーメン二郎氏は「ローカルを研究していって、海外の観光客の皆さんとかグローバルにそうめん体験を提供発信していくというようなことを今年集中的にやっていきたい」と意気込みを語った。

 伝統的な日本食文化であるソーメンを次世代に継承し、地域活性化や国際交流に役立てる取り組みとして、日本ソーメン学会の今後の活動に注目が集まる。

そうめん専門店「そそそ」を運営する安藤成子氏(左)と「阿波や壱兆」元女将の田中嘉織氏(右)

【kankokeizai.com編集長 江口英一】

 
 
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