【にっぽんの温泉特集】今、話題の温泉地 愛媛県・道後温泉


道後温泉本館

 日本各地に点在する温泉地は、長い年月をかけて人々の心と体を癒やしてきた。自然環境や泉質、歴史、地域文化といった多様な要素が織りなす温泉の魅力は、今もなお、進化を続けている。今回は、注目すべき話題の11温泉地のそれぞれの特色と旬の情報を紹介する。

3000年の歴史、「日本最古」の温泉

 約3千年の歴史を持つ、日本最古の温泉といわれる道後(愛媛県松山市)。昨年の「にっぽんの温泉100選」で2位に躍進。その人気を確固たるものにしている。

 道後温泉のシンボル「道後温泉本館」は、2019(平成31)年1月に始まった保存修理工事が昨年12月に完了。これに先立ち同年7月には約5年半ぶりに全館での営業を再開した。


道後温泉本館

 現在のような3層楼の立派な建物となったのは1894(明治27)年。道後湯之町の初代町長、伊佐庭如矢(いさにわ・ゆきや)氏が「100年後までもよそがまねできないものを作ってこそ、初めてものを言う」と、約20カ月の工期と、総工費13万5千円(当時)をかけて、老朽化した建物を改築した。

 1階に浴場、2・3階に休憩室を設け、入母屋造りの大屋根の上の塔屋が印象的な「神の湯本館棟」、日本唯一の皇室専用浴室のある1899(明治32)年竣工の「又新殿(ゆうしんでん)・霊(たま)の湯棟」、大正時代に竣工の「南棟」「玄関棟」と、その時々の時代の要請に合わせて増築。1994(平成6)年は日本で初めて公衆浴場として重要文化財に指定された。

 昨年完了した保存修理工事では、浴場や休憩室を、従来の姿を維持しつつリニューアルしたほか、今まで開放していなかった霊の湯3階の飛翔の間と南棟3階のしらさぎの間の2間を休憩室として、新たに使えるようにした(事前予約制)。人気の施設がさらに魅力を増した。

 温泉街の主な浴場はほかに二つ。「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)」は、「日本最古の温泉」にふさわしく、飛鳥時代の建築様式を取り入れた湯屋がコンセプト。2017(平成29)年にオープンした新しい施設だ。開放的な大浴場と、道後温泉本館にない露天風呂を備えている。道後温泉本館の又新殿を再現した特別浴室で、昔の浴衣「湯帳」を着ての入浴体験ができる。


道後温泉別館 飛鳥乃湯泉

 「道後温泉 椿(つばき)の湯」は、1953(昭和28)年、第8回国体が四国4県で開催された際に建設。つばきをシンボルとした松山市の市民の”親しみの湯”として広く愛されている、地元にとってなくてはならない公衆浴場だ。


道後温泉 椿の湯

 道後の湯はアルカリ性単純泉。刺激が少なく、湯治や美容に適していると評判だ。18本の源泉からくみ上げられる20度から55度の温泉をブレンドし、42度程度の適温にしている。加温も加水もしていない、”源泉掛け流し”を実現している。

 
 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第38回「にっぽんの温泉100選」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 1位草津、2位道後、3位下呂

2024年度「5つ星の宿」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第38回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2025年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2024年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2025年1月13日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒