
日本旅行業協会(JATA)は2日、国内旅行、海外旅行で優れた企画旅行(募集型、受注型)、訪日旅行で実施された企画提案の中から優れた作品を表彰する「ツアーグランプリ2025」の受賞者・作品を発表した。今回応募のあった147作品から12作品が受賞。うち、最優秀作品に贈られる「国土交通大臣賞」には、風の旅行社(東京都中野区)の「未経験者から上級者までみんなで草原集合!!ほしのいえセレクト乗馬6日間」が受賞した。
147作品から12作品が受賞
ツアーグランプリは、旅行業における企画力とマーケティング力の向上、「観光立国」の施策に寄与することを目的に設立された表彰制度。「国内旅行部門」「海外旅行部門」「訪日旅行部門」の合計三つの部門で表彰を行い、それぞれに「観光庁長官賞」1点、「優秀賞」複数点、「審査員特別賞」複数点を用意する。最も優秀な取り組みに対しては、全応募の中から1点のみ「国土交通大臣賞」が贈呈される。
今回「国土交通大臣賞」を受賞したのは、モンゴルや中央アジア方面への企画旅行に強みを持つ風の旅行社(原優二会長)。同社の応募作品は、モンゴルを熟知するクラブと連携し、参加者のレベルに応じた乗馬指導や柔軟なグループ編成を実現。これにより集客層の拡大とリピート率向上に成功した。移動式ゲルでのキャンプや効率的な移動設計による負担軽減も評価ポイントとなった。
ツアーを企画した同社企画販売部の山田基広さんは、「このツアーを企画して10年くらいたつ。毎年私自身が添乗員として同行してお客さまの声を聞き、ブラッシュアップし続けて自慢のツアーになっている」とコメント。今では全コースが満員になるほどの人気ぶりで、乗馬ができる添乗員が必須という条件の中で、今後どのように募集人数を増やしていくか思案していると笑顔で語った。
最優秀作品に贈られる「国道交通省」を受賞した風の旅行者(左から2番目が山田さん)
観光庁長官賞3作品、高いテーマ性が評価
表彰式では、国内、海外、訪日各部門の最優秀作品に輝いた「観光庁長官賞」も発表された。
国内旅行部門は、クラブツーリズムの「『船岡温泉』貸切見学! タイルマニアと行く華麗なるタイルの世界in京都・神戸 2日間」が受賞。細分化する趣味嗜好に対応したテーマ旅行の好事例として評価された。
海外旅行部門は、ワールド航空サービスの「ヒマラヤの禁断の王国・ムスタンへの旅」が受賞。これまで到達困難といわれた旧ムスタン王国(ネパール北部)への訪問を、安全かつ快適に体験できる新たな文化探訪ツアーとして高く評価された。
訪日旅行部門は、農協観光の「日出づる国、日本の農業と文化に触れる旅」が受賞。国内各地での農業体験を軸に、地域の自然・文化・人との交流を丁寧に織り込んだ。農業を通じて日本の暮らしを体感できるというユニークな点が評価された。
表彰式後に登壇したグランプリ審査委員会の本保芳明委員長(国連世界観光機関駐日事務所前代表)は、今年の受賞作品の共通点として(1)深さ(2)広がり(3)つながりの3点を挙げた。「地域や文化と丁寧につながり、旅行者の心と深くつながること。これの積み重ねが、観光が社会にもたらす価値を蓄えていく」とコメント。その価値が魅力的な旅行商品を創生し続ける原点になるとし、今後の斬新な作品の出現にも期待を示した。
総評コメントで登壇した本保芳明委員長
このほか、各部門の「優秀賞」「審査員特別賞」受賞作品は次の通り。
会員向け記事です。