
「失敗から学ぶ、また進めばいい」
観光経済新聞社は3日、観光業界の識者を招いてのオンラインセミナー「観光経済新聞チャンネル」の第39回配信を行った。EHS研究所会長の渡辺清一朗氏を招き、「失敗から学ぶ―迷っても止まってもまた進めばいい―」をテーマに講演した。
渡辺氏は講演に先立ち、企業再生事業に携わることになった経緯を語った。
実家の家業「杉乃井ホテル」の民事再生や銀行での勤務経験を経て、「成功は偶然、失敗は必然で全て自分の責任である」という気づきを得た同氏は、「宿泊施設の経営失敗」という苦渋を味わう同業者を減らすべく、旅館・ホテルの再生事業を数多く手掛けてきた。
講演では同氏が手掛けた再生事業を紹介した。成功事例では、私的再生、民事再生を経て、経営を持続させている事例を紹介。失敗事例では、深刻な経営難に陥っているさなか、周囲の甘言に惑わされて民事再生をはねのけた施設や、経営改善のアドバイスを受けるも改善に至らなかった施設の末路についても言及した。
最後に、施設の経営を行う上で、金融機関との付き合い方が重要であることを強調。銀行の種類で担保価値の見積もりから異なることを指摘し、(1)金融機関が自社をどう見ているかを知ること(2)実現可能な事業計画を策定すること(3)地元の税理士と金融機関の関係に注意すること―など実践的なアドバイスを行った。
「下を向いていると細い光が見えない。前を向いて頑張っていると細い光が見えるので、その光の方向へ進むと命まで取られることはない」と自身の経験を踏まえて締めくくった。
渡辺氏