
ひなのつるし飾り
日本各地に点在する温泉地は、長い年月をかけて人々の心と体を癒やしてきた。自然環境や泉質、歴史、地域文化といった多様な要素が織りなす温泉の魅力は、今もなお、進化を続けている。今回は、注目すべき話題の11温泉地のそれぞれの特色と旬の情報を紹介する。
海辺町で絶景の温泉と伝統文化に触れる
静岡県東伊豆町にある稲取温泉は海岸線に小さく突き出た岬に位置し、伊豆大島と太平洋を望むロケーションで、1956年に温泉が湧出した比較的新しい温泉地だ。
伊豆大島と太平洋を望む抜群のロケーション
絶景の露天風呂と、稲取や近隣の漁港で水揚げされる新鮮な海の幸を提供する旅館が増え、少しずつ評価され温泉地として発展してきた。ほかにも「ひなのつるし飾りまつり」等の歴史のある伝統行事を目当てに訪れる常連客も多いという。
7月19日には「磯 SeaGarden IKEJIRI」が待望の海開きを迎える。磯SeaGardenは温泉街に近い池尻海水浴場と海浜プールの総称。池のような形に、岩に囲まれた海水浴場のため波の侵入が少なく、小さな子供も安全に遊べることからリピーターが増えている。スノーケリングで色とりどりの魚を観察したり、岩場のカニやエビを捕ったりなど、砂浜ではできない体験が売りとなっている。潮位が深かったり、海が苦手な子は、隣接する海浜プールでも楽しめる。同エリアで毎年開催されている「さざえのつかみ捕り大会」も大人気だ。今年は7月28~30日に開かれる。
また、8月4日から6日の夜には手作りゲームや、かき氷などの夜店が出る子供向けの「ちびっこ縁日」が開催され、毎年多くのファミリーが参加している。
夏の恒例行事、花火大会は7月21日から5日間、8月25日から5日間と合計10日間の開催。打ち上げ場所は旅館の稲取銀水荘前と池尻海岸サンライズテラス、稲取漁港の3カ所。それぞれ午後8時30分から10分間、約300発を打ち上げる。
秋に訪れたい観光名所として、「未来に残したい草原の里100選」にも選ばれた稲取細野高原がある。伊豆半島の最高峰とされる天城連山と、広大な相模湾に浮かぶ伊豆諸島を望む東伊豆随一のパノラマスポットだ。群生するすすきが10月から穂を出し東京ドーム26個分に相当する125ヘクタールもの草原が、黄金色に色づき幻想的な景色を作り出す。今年の「秋のすすき鑑賞会」は、10月31日から11月30日までの約1カ月間開催される。
ひなのつるし飾り発祥の地である稲取の早春のイベントといえば、例年1月20日から3月末まで開催される「ひなのつるし飾りまつり」だ。「文化公園雛の館」をメインに4会場で開催される。中でも最大の注目が素盞鳴(すさのお)神社雛段飾り。素盞鳴神社ではひな人形の展示段数日本一とされる118段にひな人形とつるし飾りを展示している。厳かな神社の雰囲気と色とりどりの華やかなひな飾りが織りなす光景は圧巻で、訪れる観光客を魅了している。
ひなのつるし飾り