
案の定というか、結局何も起こらなかった。このところ話題となっていた「7月5日に災難が起こる」といった根拠のないうわさのことだ。世間がざわつき、観光にも少なからず影響があったとされる。
気象庁は、「現在の科学的知見では日時、場所、大きさを特定した正確な地震予知は不可能。信頼すべきではない」と会見で発表、異例の対応をみせた。
ここまで来ると笑い話ではすまされない。人はとかくうわさやデマ、迷信といったものに惑わされがち。筆者自身、「あるかもしれない」といった考えがちらっとよぎったものだ。反省…。
もとになっているのは漫画家、たつき諒さんの作品「私が見た未来 完全版」という、作者の夢の内容を漫画にしたもの。この中に「日本列島の南に位置する太平洋の水が盛り上がる」「災難が起こるのは2025年7月」と書かれ、あとがきでは「夢を見た日が現実化するならば、大災難の日は7月5日午前」と書かれてある。
たつきさんは後日、自信の予言を軌道修正し、日付の特定を否定しているとの報道もあったが、6月下旬からトカラ列島近海で地震が相次いだこともあり、SNSで取り上げられたなどした結果、7月5日は地震が起きるといった話が拡散したようだ。
いち早く反応したのは海外で、香港の航空会社は予言の影響で需要が急減していると判断、5~10月の間に仙台便と徳島便を減便するとした。
香港からの訪日旅行者も5月は13万3100人にとどまり、前年同月比11・2%減少した。JNTOは「日本で地震が発生するという情報がSNS等で拡散している」との見方を示した。日本への観光を見合わせる動きもあり、予約が少なくなったという宿泊施設もある。
トカラ列島近海でも地震は続いている。その後に日本の別の場所で大地震が起きるという俗説「トカラの法則」もあるが、根拠のないうわさ話、デマなどに振り回されないようにしたい。
ただ、「うわさは根拠があいまいなほど広がる」との指摘もあり、こういった類の話は今後も起こり得るだろう。疑ってかかってみよう。
日本は地震国であることは間違いなく、昨今の異常気象などを考えると、何が起こっても不思議ではない。常に対策を怠らないよう、注意だけはお忘れなく。
これから夏の観光シーズンたけなわ。猛暑が気になるところだが、観光地がにぎわうことを願ってやまない。
根拠のないうわさは観光にも影響する(写真と本文は関係ありません)