「地域個性の継承」展望 日本観光研究学会がシンポジウム


パネルディスカッション

 日本観光研究学会は6月21日、國學院大學たまプラーザキャンパス(横浜市)でシンポジウム「ツーリズムを通した地域個性の継承を展望する」を開いた。國學院大學観光まちづくり学部の下村彰男教授が「地域個性の継承とツーリズム」をテーマに講演。各地で観光振興に取り組む事業者、研究者らによるパネルディスカッションを行った。

 インバウンドを含めた観光客の“外部の視線”により、地域における潜在的観光資源が発見され、多くの観光客が押し寄せるケースが散見されるが、「地域資源の保全・活用を図り、後の世代へ地域個性を継承する観点からは必ずしもプラスに作用するばかりではない」(同学会)。

 講演で下村氏は、旧街道にかやぶき屋根の家屋が並ぶ人気の宿場町の例を取り上げた。家屋の入り口は街道沿いではなく棟間に置かれているが、これは街道と、その反対側の農地の両方に住民がアクセスしやすいように設計されたもの。街道側から棟間を通して農地が見えるのが、半農半宿として成り立っていた同地の個性の一つだった。

 ただ近年は棟間に土産店や飲食店が置かれるなど商業利用が進み、街道側から農地を見ることが難しくなった。

 下村氏はこの点について「地域の個性が継承されているのか」と疑問を投げかけた。

 パネルディスカッションは、出羽三山(山形県)で「山伏修行体験プログラム」を展開する株式会社めぐるんの加藤丈晴代表取締役、地域連携DMOとして観光を通じた地域振興に取り組む富山県西部観光社水と匠の林口砂里プロデューサーが地元での取り組み事例を報告。館林市(群馬県)で同市の日本遺産推進協議会委員などを歴任する東洋大学の古屋秀樹教授が、同市に関わるストーリーが日本遺産に認定されるまでの取り組みを解説した。


パネルディスカッション

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第38回「にっぽんの温泉100選」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 1位草津、2位道後、3位下呂

2024年度「5つ星の宿」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第38回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2025年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2024年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2025年1月13日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒