
関谷氏
「関係・つながり」が人と地域を未来につなぐ
コロナ禍を経て、人々の移動への見方は大きく変わりました。JALグループの「2025中期経営計画(MRP2025)」では、移動を通じて「関係・つながり」を生み出し、社会のサステナビリティと人々のウェルビーイングを高めることを重要視しています。移動がもたらす結びつきは、単なる往来にとどまらず、人々の幸福度向上や文化交流、地域の隠れた魅力の再発見など、多様な価値を生み出すからです。こうした「移動の質」を高めるには、官民連携による空港やインフラの整備、旅行促進に向けた思い切った支援策の実施が不可欠だと考えます。気軽に地域へ足を運べる環境が整えば、観光やビジネス交流が活性化し社会がますます豊かになるとともに、特に若い世代にとっては、新たな価値観を得る貴重な機会となるからです。
JALでは「旅アカデミー」という商品を通じ、地域で活躍する人々から直接学ぶ”体験”を提供し、旅行者と地域住民の絆を深めています。また、ハワイ日米協会と提携することで「姉妹都市サミット」の開催を支援し、コロナ禍で停滞した国際交流を活発化させるとともに、観光・文化・経済の基盤強化を図っています。さらに、香川県三豊市では地域ファンドを活用し、資金提供に加えてコミュニティと共創する取り組みも推進中です。若年層向けには各種キャンペーンを展開し、旅を日常の延長として楽しむ文化を育みたいと考えています。こうした試みによって、人々が行き交うことで新たなアイデアが生まれ、地域の活力も高まるでしょう。そして、こうした体験から生まれる新たな視点が、多様な価値観を育み、社会全体をより豊かにすると確信しています。
JALが進める移動を通じた「関係・つながり」は、最先端技術とも密接に結びつき、環境負荷低減や時間短縮の実現に役立ちます。例えば、持続可能な燃料や空飛ぶクルマの開発は、未来の空を大きく広げる可能性を秘めています。デジタル技術を活用した情報共有により、旅の計画や予約、現地での体験がいっそうスムーズになり、人々の移動にまつわるストレスも軽減されます。
自治体や企業の連携が進むことで、地域固有の魅力を生かした観光商品や人材育成の場づくりが拡大し、地域への関心を高める契機となるでしょう。航空や観光の役割がかつてないほど重要性を増す今、JALは「関係・つながり」を核に、社会のサステナビリティと人々のウェルビーイングの向上を両立させることを目指して取り組んでまいります。
関谷氏