
日本温泉協会(多田計介会長=石川県・和倉温泉、1131会員)の通常総会が6月24日、北海道・登別温泉の祝いの宿登別グランドホテルで開かれた。登別温泉での総会は、コロナ禍によって2020年度が中止となり、持ち越された21年度も開催できなかったが、ようやく実現にこぎつけ、1966(昭和41)年以来、2度目の開催となった。25年度事業計画には、地熱開発による温泉への影響に警鐘を鳴らし、資源保護や被害への補償の必要性を引き続き訴えることを掲げた。また、「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録の実現に注力していく。
地熱開発、「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録に注力
多田会長は、地熱開発への対応と、「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録を現在の協会活動の柱に挙げた。地熱開発については「乱開発がないよう慎重な姿勢を求めている。地熱開発には良いことと、悪いことが、両面、背中合わせ、紙一重という状況が伺える所が全国で出てきており、協会としても引き続き注視していきたい」と述べた。
一方のユネスコ無形文化遺産への登録については、年内にも2028年登録に向けた国内候補が選定される予定。「全旅連を事務局とする全国推進協議会で、署名運動、啓蒙運動を推進しているところだが、日本温泉協会は本来その一翼を担う組織だ。会員には活動をしっかり支えてほしい」と登録の推進活動の強化を呼び掛けた。
多田会長
地熱開発による被害に補償制度の必要性を訴え
地熱開発への対応では、佐藤好億副会長(福島県・二岐温泉)が、大規模な地熱開発の影響で温泉の減温、減衰が見られた東北、中部、九州の事例を説明。「事故がなくできるのであれば、地熱開発が悪いことだとは思っていない。反対のための反対ではない。しかし、CO2排出削減対策の一環で国策として推進するのであれば、万一、(温泉事業者や地域に)マイナスが生じた場合には、きちんとした補償、補償のための法律体系を整備するべきではないか」と訴えた。
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