
黒羽准教授
観光は明日の日本を支える重要な産業といわれ、今後さらなる成長が見込まれるが、その成長を確かなものにするには優秀な人材の確保が必要不可欠だ。ここでは観光に関わる充実した教育環境を誇る大学、専門学校9校を取り上げた。
実践の学びから経営人材へ
淑徳大学(1965年開学)経営学部(経営学科、観光経営学科)は2023年4月、東京キャンパス(東京都板橋区)へ移転し、新たなスタートを切った。24年3月には、同キャンパス内に新校舎が完成し、学びの環境がさらに充実した。
同学部の大きな特色の一つが「SLDP(淑徳リーダーシップディべロップメントプログラム)」。先輩学生がグループワークやディスカッション主体の講義を主導し、チームワークやリーダーシップについて実践的に学ぶ。
観光経営学科長の黒羽義典准教授はSLDPについて「連携する大手旅行会社の中堅社員が講義に参画し、アドバイスを受けながらビジネスプランの提案に挑むなど、専門科目の学びに加え、社会人にとって必要なコミュニケーション能力や課題解決能力を養う機会が用意され、学生の満足度も高い」と話す。
観光経営学科における学びは、建学の精神である「利他共生」に基づく実学教育を基盤としており、以下の2点を重視している。
1点目は、経営学を基盤として観光学を学ぶことにより、観光産業におけるマネジメント人材の育成に注力している点。マーケティングやデータサイエンス、簿記・会計などの経営学分野と、観光ビジネスや観光地計画など観光学分野の基礎を同時に、かつ早期に修得し、経営環境が激変するなかでの事業展開について多様な視点で検討し、理解を深めていく。
2点目は、ゼミや専門科目を通じて実践的な体験学修の機会を設けている点。観光ビジネスや観光地の現場におけるフィールドワークを通じて、観光を実践的に学ぶことができるプログラムを用意する。なかでも観光ビジネスについては、旅行、鉄道、航空、ホテル、ブライダル、レジャー施設の経営戦略を専門とする教員が指導にあたり、産学連携プログラムを展開するなどにより実践的な学びに結びつけている。このほか、観光関連団体のトップなどを客員教授に迎え、経営層から直接学ぶ機会を設けることで、観光マネジメント人材の育成に向け体制強化を図っている。
卒業生の就職内定率は98・7%。25年3月の卒業生は、JR東日本、ソラシドエア、JALグランドサービス、JTBビジネストラベルソリューションズ、日本旅行、クラブツーリズム、東急ホテルズ&リゾーツ、西武・プリンスホテルズワールドワイド、野村不動産ホテルズ、アパホテル、KCJグループ(キッザニア)などに就職した。
黒羽准教授