
食中毒防止に細心の注意を(写真と本文は関係ありません)
まだ6月だというのに真夏並みの天気が続いている。気象庁は25日ごろから全国的にかなりの高温になる可能性があるとして、先ごろ「早期天候情報」を出した。これはその時期としては10年に一度ほどしか起きないような著しい高温や低温、降雨量となる可能性がいつもより高まっている時に呼び掛ける情報だ。
暑くなると発生する確率が高くなるのが食中毒だ。厚生労働省によると、夏場の食中毒の原因の多くがカンピロバクターやサルモネラといった細菌によるもので、これらは暑い季節に一番増えやすい。
旅館・ホテルでは防止に向け細心の注意を払っていると思うが、改めて注意を喚起したい。時には命に関わるだけに、注意することに越したことはない。
まず、「ばい菌をつけない」こと。手や、洗える食べ物はしっかり洗い、肉や魚はしっかり包んで、他の食べ物とくっつけない。
「ばい菌を増やさない」。生ものや料理は早く食べるようにし、保存する時は冷蔵庫・保冷庫にすぐしまう。
そして、「加熱する」。料理する時はしっかり加熱し、食器や調理器具も熱湯などで消毒する。
弁当などを提供する場合もあるだろうが、弁当は作ってから食べるまで時間があるので、特に注意が必要。おかずの汁気はよく切る、ごはんやおかずはよく冷ましてからふたをする、涼しいところに保管する―など、当たり前のことをきちんとやることが肝心。
気を付けているにも関わらず、旅館・ホテルで食中毒は起こる。
5月初旬、長野県内の宿泊施設を利用した中学生が発熱や頭痛などの症状を訴え、保健所はロタウイルスによる食中毒と断定。この施設の調理部門を3日間の営業停止とした。
静岡県熱海市では6月2日から、宿泊施設を対象とした食品衛生の一斉監視指導を始めたという。夏の観光シーズンを前に、宿泊施設で食の安全を守るためのもので、県の保健所が毎年行っている。保健所の職員らが施設の調理場に入り、調理器具や水回りの管理状態などをチェックする。
愛媛県と松山市は、6月17日から26日まで「細菌性食中毒注意報」を出した。(1)調理や食事の前での手洗い(2)台所を常に清潔にし、まな板、ふきんなどは十分に洗浄・消毒(3)食品を長時間にわたり室温で放置しない―など。
不特定多数の人に食事を提供する旅館・ホテルが食中毒事件を起こすと信用問題となる。慢心せず、くれぐれもご用心。