
一昨年8月に竣工した新校舎「宴会場」
観光は明日の日本を支える重要な産業といわれ、今後さらなる成長が見込まれるが、その成長を確かなものにするには優秀な人材の確保が必要不可欠だ。ここでは観光に関わる充実した教育環境を誇る大学、専門学校9校を取り上げた。
礼節を重んずる人間育成
日本で唯一ホテルが作った学校として確固たる地位を築く学校法人日本ホテル学院が運営する専門学校日本ホテルスクール(東京都中野区)は、今年設立から54年を迎えた。同校の教育理念は、「礼と節を重んずる人間の育成」「理論と実技の一体化によるサービスの創造」―などが挙げられる。
卒業生は今日までに1万4千人を超え、ホテル・ブライダル・レストラン業界で幅広く活躍し、日本のサービス業の一翼を担い続けている。
今年3月の卒業生の就職状況は、日本全国のホテル・旅館などに採用され、就職希望者全員の進路が確定した。「昨今の業界が抱える慢性的な人材不足に伴い、企業の求人ニーズは高止まり状態。就職決定者の95%が、2年間の学びを通してホスピタリティ業界に進んだ」と同校。
また、2023年夏に新校舎を竣工し、ホテルフロントシステムの新規導入や拡張された演習会場で模擬披露宴を実施するなど教育の充実化を図っている。
開校以降、「産学連携」を軸として教育カリキュラムを組み立て、ホテル・ブライダルを中心に、企業と連携した実践教育を行う。当初から企業実習(インターンシップ)を導入した独自の教育プログラムにより、現場で活躍できるホテリエを育ててきた。「現場で活躍できる人材を育てるには、理論と実技を一体化させることが重要」と力説する。
また、昨年4月からは、昨今のSNSプロモーションなどが重要視されていることを契機に、「表現して伝える力」を持った次世代のホテリエの育成を目指す「ホテルSNSコミュニケーション科(昼間部)」を新設。ホテルのサービス全般に加えて、独自のカリキュラムとしてSNSのオペレーションやマーケティングを設けて、「コミュニケーションツールをホテルのマーケティングや広報に生かす力を養うことが目標」と話す。
一昨年8月に竣工した新校舎「宴会場」