JTB旅ホ連が通常総会を開催 客室管理ツールを最適運用、販売目標は4200億円に


JTB旅ホ連の宮﨑会長

JTB旅ホ連の宮﨑会長

 JTB協定旅館ホテル連盟(3519会員)は11日、2025年度通常総会を大阪市のシェラトン都ホテル大阪で開いた。役員改選では、宮﨑光彦会長(愛媛県・道後御湯)を再任した。25年度は、JTBとの戦略的パートナーシップを「深化」させ、国内客室管理ツールの最適運用などで宿泊販売の年間目標4200億円の達成を目指す。人財育成への支援なども強化し、会員施設の安定経営にも貢献する。

地域振興、人財育成も支援強化

 24年度の宿泊販売実績は約3900億円で、目標の4千億円を下回った。25年度の目標4200億円の先には、28年度に5千億円という目標を掲げている。

 宿泊販売についてJTBの山北栄二郎社長は「24年度は第1四半期を除くと目標に届くような勢いだが、ちょっと出だしが良くなく、若干届いていない。25年度は何としても目標を達成したい。そして28年度は5千億円が目標ということで、確実に宿泊を伸ばしていきたい」と述べた。

JTBの山北社長
JTBの山北社長

 JTB旅ホ連の宮﨑会長は「不透明な世界経済情勢があり、物価高、人件費高、一方で人手不足がある。それらに打ち勝ちながら、25年度は宿泊販売4200億円、その高い目標の必達に向け、商品力と販売力を強化し、磨き上げ、高付加価値の創出と稼げる観光地域づくりにまい進したい」と述べ、23年12月にリリースされた国内客室管理ツールの最適運用で宿泊増売に成果を上げたい考えを示した。

JTB旅ホ連の宮﨑会長
JTB旅ホ連の宮﨑会長

 旅ホ連の25年度事業計画では、宿泊増売、地域振興・観光振興、人財育成などの施策を推進する。

 宿泊増売では、国内客室管理ツールの最適運用、宿泊販売の課題解決を通じて、販売目標の達成を目指す。宿泊増売に向けては、訪日インバウンドの販売拡大、法人・団体販売の強化にも注力していく。

 地域振興・観光振興は、会員施設がJTBと連携して取り組む着地コンテンツの開発を引き続き支援する。人財育成では、宿泊業従事者のキャリアプランに沿った研修やセミナーの提供、外国人材の雇用促進サポートなどの施策を強化する。

 また、役員改選については、9人の副会長のうち4人が新任となった。新たに、山尾直嗣氏(宮城県・ホテルニュー水戸屋)、川野健治郎氏(山梨県・慶雲館)、西田陽一氏(大分県・ホテル白菊)と、JTB専務執行役員ツーリズム事業本部長の西松千鶴子氏が副会長に就任した。

JTB仕入販売戦略 早期販売へ客室提供数の維持・拡大を

 JTB協定旅館ホテル連盟の通常総会では、宿泊販売の目標4200億円の達成に向けた2025年度の仕入販売戦略について、JTB仕入商品事業部の森下勉国内仕入戦略部長が説明した。23年12月の国内客室管理ツールへの移管に伴う宿泊増売について、JTBとJTB旅ホ連の相互の取り組みの重要性を強調。高単価、高利益率を念頭に、早い時期からの販売で安定的な経営につなげるため、ウェブ販売での国内個人が伸びる前、宿泊日から2カ月前までの期間の客室提供数を維持、拡大するよう提案した。

 24年度の販売実績は3901億円でほぼ前年度並みだが、目標の4千億円に対して97・5%。森下部長は「国内客室管理ツールの移管に伴い、商品が乱立し、一物多価状態となっていた手配商材の整理を行った結果、24年度上期の実績に影響をきたしてしまった。期中で品ぞろえの強化を図り、下期は回復したものの、上期の穴埋めまでには至らず、目標は未達に終わった」と説明した。

 25年度の目標は4200億円。25年度の販売状況は手配商材の営業を強化し、一定数の品ぞろえが継続できていることもあり、初動(4月末時点)は24年度比110・6%だが、前年度は目標未達で、楽観視できる状況にはないという。

 JTBと旅ホ連の相互取り組みについては、ウェブの国内個人の宿泊予約は宿泊日の1カ月前をめどに急増して間際まで続くことを踏まえ、森下部長は「このウェブ予約伸長期の前までの期間、つまり約2カ月前までは弊社に客室をご提供いただき、(店頭、国内団体、訪日団体・個人などJTBの)各チャネルで高単価で販売したい。2カ月前までにウェブ以外のチャネルで売り上げの土台を作りませんかという提案をしている」と説明した。店頭や団体については、事前精算の場合が多く、キャンセル率が低く、連泊比率や館内消費額が高い傾向にあり、利益率が高いことから、旅館・ホテルの経営にプラスになると指摘した。

 25年度の仕入販売戦略の基本方針には、(1)仕入営業強化と「仕入営業コンピテンシーモデル(成功モデル)の確立(2)訪日インバウンド営業のプライオリティを高位とする風土醸成(3)お客さま実感価値向上に資する商材の拡大と高付加価値化(4)デジタルツール活用とPCC(国内仕入推進センター)連携による仕入営業高度化とBPR(業務改革)推進(5)DMC戦略と連動した着地コンテンツの価値向上と宿泊貢献(6)宿泊施設の課題解決につながるソリューションメニューの提案―を挙げた。

 インバウンドの営業強化について森下部長は、「今一番伸びしろがあるインバウンドを取り込むために、全国横断的にインバウンド専任組織を立ち上げた。皆さまの施設にお伺いする仕入担当者は変わりないが、その後方支援を担う組織として地域別戦略を構築するなどの業務支援を行い、仕入担当者がよりインバウンド営業に傾注できる環境整備を行う」と述べた。その上で、JTB Inbound TripやJTBグローバルマーケティング&トラベル、海外提携先と連携し、インバウンド宿泊販売を24年度の426億円から、25年度は550億円に引き上げる目標を掲げている。

 
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