
総会の様子
旅行業公正取引協議会(会員273社)は6月24日、第41回通常総会を東京都千代田区のKKRホテル東京で開いた。2024年度事業・収支決算について審議・承認されたほか、25年度事業計画・収支予算案の報告、公正競争規約の一部変更が承認された。任期満了に伴う役員改選も行われ、小谷野悦光会長、橋本肇副会長の再任が決定した。
冒頭、小谷野会長(日本旅行代表取締役社長)があいさつで登壇。コロナ禍からの回復が鈍い海外旅行や国内各地でのオーバーツーリズム、個人旅行客が旅行会社離れといった業界の課題に言及した。「こうした状況は機会損失である一方、ビジネスチャンスでもある。隠れた観光資源や体験などを組み込んだ魅力的な旅行商品を構築することが、旅行会社の存在意義を示す良い機会だ」と強調した。
小谷野会長
続いて行われた来賓あいさつでは、消費者庁表示対策課課長補佐の藤平章氏、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部取引企画課課長の松本博明氏が登壇。
消費者庁の藤平氏は、昨年10月に施行された改正景品表示法を紹介し、ステルスマーケティングの是正措置に向けた新たな制度運用が開始したことを紹介。「引き続き、業界の取引適正化を推進していただきたい」と要望した。
消費者庁の藤平氏
公正取引委員会の松本氏は、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の改正を紹介。来年1月1日を施行日とする「中小受託取引適正化法」に法律名が変更され、発注者から一方的に取引金額を決定することなどが禁止事項に追加されると説明した。「(旅行業界も)他の事業者に業務委託する場合があるかと思う。改めて、ご理解をお願いしたい」と呼び掛けた。
公正取引委員会の松本氏
議事では2024年度事業・収支決算について審議・承認されたほか、25年度事業計画・収支予算案についても報告された。
25年度事業では、旅行広告の適正化推進、関係法令の普及や、広報活動の強化などに注力。
旅行広告の適正化推進および関係法令の普及では、昨年度と同様にウェブ広告表示の審査を強化。是正指導後の進捗確認に改善がなされない場合のさらなる是正措置の検討も進める。
広報活動の強化では、同協議会が今年で設立40周年になることを受け、さらなる公正競争規約の認知度向上に努める。広報誌「Fair Wind」は年4回の定期発行を継続。4月に発行した第129号からは、会員各社から募った「旅の思い出」「感動した旅」「業務を通じての失敗談」などをまとめたコラムの新連載を開始している。一般向けには、引き続き協議会の会員マーク、ロゴマークのPR活動を実施する。
収支予算については、コロナ禍から継続していた会費の一部減額処置を、今年度から規定会費に戻した予算編成に変更。これに伴い会費収入600万円強の増収を見込む。
公正競争規約(表示)の一部変更も審議された。すでに他業界で問題になったステルスマーケティングについて、消費者庁は景品表示法第5条第3号の規定に基づき指定(ステマ告示)を行い、23年10月に施行した。これに伴い、旅行業界もステマ広告の規制を導入。表示規約にステマ告示と同趣旨の規定を追加する。
議事の後半には任期満了に伴う役員改選も行われ、小谷野会長に加え、橋本肇副会長(エヌオーイー代表取締役社長)の続投が決定した。
25年度の役員体制は次の通り(敬称略)。
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