【観国之光 498】万博で東北絆まつり 東北人の熱気、会場に 観光経済新聞 論説委員 内井高弘


絆まつりオープニング

絆まつりオープニング

 蚊によく似た虫「ユスリカ」の大量発生や、レジオネラ属菌検出による水上ショーの中止など、何かとトラブルが尽きない大阪・関西万博だが、開幕2カ月、6月12日時点での来場者数(速報値)は累計で639万3千人となり、増加傾向に。今後、夏に向け盛り上がりが予想されている。

 そうした中、13~15日、「東北四季の彩り&東北絆まつり」が万博会場内のEXPOアリーナ「Matsuri」で開かれた。東日本大震災への感謝と復興の姿、東北のさまざまな魅力を日本だけでなく、世界に発信し、東北への誘客につなげる。東北6県と東北観光推進機構、東北絆まつり実行委員会が主催した。

 震災と東京電力福島第1原発事故の発生から3月11日で14年がたった。震災関連死を含めた東日本大震災による死者と行方不明者は合わせて2万228人に上り、避難生活を強いられている人は2万7615人となっている。現実は重い。

 13日のオープニングセレモニーでは6県知事と東北のご当地キャラクター、そして「ミャクミャク」がテープカットを行ったほか、各県の祭りを紹介するPRステージパフォーマンスにより、14日からのイベントを盛り上げた。

 宮城県の村井嘉浩知事は「震災から14年がたち、岩手、宮城はだいぶ復興したが、福島はまだまだこれから。『東北は一つ』を合言葉に祭りやパレードを行うので、国内外の多くの人に楽しんでいただき、ぜひとも次は東北に遊びに来てほしい」とアピール。14日は雨のためパレードは中止となり、ステージ上でのパフォーマンスとなったが、15日は天気にも恵まれ、6県から500人を超える人が参加した。

 和歌山県から来た夫婦は「初めて6県の祭りを身近で見た。今回は”ミニ版”だが、それでも熱気、迫力が伝わってきた。機会があればぜひ現地で見学したい」と興奮気味に語った。

 震災以降、各地で自然災害が起こり、ともすれば震災に対する思い、記憶が薄れがちになるが、郡和子仙台市長は「いまの状況をしっかり未来に、そして世界に発信していくのが務め」と述べ、絆まつりがその一端を担っているとした。

 関係者は口をそろえて言う、「東北に来て」と。絆まつりは震災からの復興に取り組む東北人の心のよりどころであり、意地でもあるのだと感じた。ぜひ続けてほしい。

 今年の絆まつりは万博に出展したため、東北での開催はない。来年は盛岡市で開催される。

絆まつりオープニング
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