JATAが定時総会を開催 アウトバウンド促進、国内旅行はラーケーション普及にも注力


総会の様子

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 日本旅行業協会(JATA、会員数1171社)は6月18日、第69回定時総会を東京都千代田区の経団連会館で開いた。2024年度事業・決算報告を行ったほか、正会員除名などを審議し、いずれも原案通り承認。理事会ですでに決定した25年度事業計画・収支予算についても報告した。任期中役員の辞任に伴う役員改選も行われ、新たに4人の新役員の選任が決定した。

旅行業は活況としつつも「問題は海外旅行」

 冒頭あいさつした髙橋広行会長は、昨今の旅行業界を「活況」と評価。昨年の訪日外国人観光客数とその消費額が過去最高だったとしつつも、コロナ禍以降回復が遅れる海外旅行に言及した。「円安や世界的な物価高といった外部環境は変えられるものではないが、われわれが成しえることはある」とし、社会的意義を伴った制度改正・支援策を国や自治体に働きかけることに加え、JATA会員が自ら市場を動かしていく自助努力―の両輪での取り組みが重要だとした。

 これを踏まえたアウトバウンドの復活に向けた取り組みとして、パスポート申請手数料の抜本的見直しや学生の国際交流の必修化などを「第5次観光立国推進基本計画」策定への提言書に盛り込んでいることを紹介。海外旅行促進プロジェクト「もっと!海外へ」も紹介し、「JATA海外旅行アンバサダー」岩田剛典さんが出演するCMも披露。YouTubeの公式チャンネルでは公開1カ月で約50万回再生を達成したことを報告した。

 髙橋会長は、国内旅行や訪日旅行の残る課題についても言及。国内旅行は、平日旅行の普及など需要分散化を訴えた。実際に「休み方改革(ラーケーション)」の普及を目指し、全国旅行業協会(ANTA)や日本観光振興協会(日観振)と連盟で、各県や教育委員会などに要望活動が展開できるよう取り組みを展開していることを紹介した。

 訪日旅行も、違法タクシー(白タク)や転売といった不正行為の撲滅や市場環境健全化の推進に加え、高付加価値旅行・アドベンチャートラベルガイドの育成などの重要性に言及。JATAとして訪日市場にも積極的に関与していくことを呼び掛けた。

髙橋会長
髙橋会長

 続いて、観光庁の秡川直也長官が来賓あいさつで登壇。好調なインバウンドについて、「今年は勢いが維持どころか増している」と説明。5月の訪日外国人客数が過去最高で昨年同月比20%程度だったと報告し、同様の伸び率だと単純計算で11月には4千万人を達成する見込みだと報告した。策定に着手した第5次観光立国推進基本計画についても言及し、JATAからの提言を盛り込みながら、計画策定に取り組んでいくとした。

観光庁の秡川長官
観光庁の秡川長官

25年度は運営基盤整備や渉外活動を強化

 議事では、2024年度事業・決算報告、会費未納に伴う正会員除名、役員改選が審議され、いずれも原案を承認。3月9日開催の理事会ですでに決まった24年度事業計画・収支予算についても報告した。

 役員改選では、理事の坂元隆氏(読売旅行)、運営役員の小野博宣氏(毎日企画サービス)、髙橋敦司氏(JR東日本びゅうツーリズム&セールス)が辞任および辞任の意思表明をしたことによる新任役員を審議。新理事には、運営役員からの役職変更で岩切道郎氏(名鉄観光サービス)の選任、新運営役員には岩上秀憲氏(読売旅行)、澤田博之氏(JR東日本びゅうツーリズム&セールス)、須山勉氏(毎日企画サービス)の選任が承認された。

 25年度事業では、運営基盤整備および人材戦略・労働環境の改善、DX化による生産性向上や持続可能な観光の実現に向けた情報発信など、9事業に取り組む。具体的な取り組み内容は次の通り。

1.会員会社の経営強化
 関係法令等の適時情報発信や経営課題に関するセミナーの実施

2.適正な運営
 コンプライアンス関係の研修などの強化

3.協会の安定運営
 新規入会促進や国家試験の受験手数料値上げによる事業健全化

4.人材戦略と労働環境改善
 カスタマーハラスメント(カスハラ)のモデル対応マニュアルや、「JATA旅行未来塾」での階層別研修の新設

5.商環境の変化への対応
 修学旅行実施時期の平準化に向けた各教育委員会への働きかけ、インバウンドマニュアル改訂版の発行、新たなビジネスモデルの検討

6.DX化と協調共創による生産性向上
 セミナー支援や観光産業共通プラットフォームの入会促進や機能見直しなど

7.情報発信、並びに渉外機能強化
 第5次観光立国推進基本計画の策定に向けた提言の働きかけ(パスポートの普及支援や地方空港の活性化支援など)

8.持続可能な観光の実現
 ラーケーションの拡大に向けた自治体や経済団体への働きかけ

9.高付加価値化、旅行の質の向上
 質の高いガイドの育成や、政府観光局と連携した高付加価値素材の情報集約・発信

総会の様子
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