【観国之光 497】地震から間もなく1年半 復興に向け寄り添おう 観光経済新聞 論説委員 内井高弘


大阪府は奥能登の小中学生らを万博に招待する

 石川県の能登地域は、2024年1月に発生した地震から、間もなく1年半がたつ。同年9月には豪雨が襲ったこともあり、復興は道半ばだ。いや、思った以上に遅いように感じる。

 6月6日、首相官邸で防災立国推進閣僚会議と能登半島地震復旧・復興支援本部の合同会議が開かれた。

 石破茂首相は「能登においては、なりわいの再建や公費解体の実施など、復旧・復興の取り組みが着実に進められている。6月以降は、2月に創設した『能登創造的復興支援交付金』を活用した復興事業が開始される。被災自治体が地域のニーズに応じて的確に事業を推進できるよう、国として、引き続き被災地からの相談に丁寧に対応し、伴走支援を」と指示した。

 復旧・復興事業がスピード感をもって着実に実行されることを願う。また、梅雨シーズンに入り、大雨による被害も予想されるだけに、降雨の際の警戒に万全を期してもらいたい。

 5月18日、天皇皇后両陛下の長女、愛子さまが石川県七尾市の和倉温泉を訪問、「お祭り会館」などを視察した。和倉温泉創造的復興まちづくり推進協議会の多田健太郎代表らから温泉旅館のまちづくり復興プランについて説明を受けられたという。
 にこやかに応じられる愛子さまの姿に元気づけられる人は多かったのではないか。皇族の方々が被災地を訪問なされることでそこにスポットが当たり、人々の関心が集まることは決して無意味ではない。

 奥能登地域の小中学生やその保護者に夏休みの間、大阪・関西万博を含む2泊3日の大阪観光を楽しんでもらおうと、大阪府はふるさと納税で寄付を募っていたが、目標の6倍以上の寄付が集まったという。

 府は当初、寄付額3千万円で160人の招待を想定していたが、1億9千万円ほどに上ったことから、吉村洋文知事は応募者全員990人を招待する意向を示している。

 奥能登から万博会場まで来るのはなかなか大変だと思う。旅行費用の捻出、宿泊先の確保など、やることも多い。人気取りだ、など否定的な見方もあるが、大阪観光で気分転換するのも悪くはないのでは。

 地震や豪雨で能登半島の観光は大きな被害を受けた。被災した地元の九つの自治体や事業者などで作る「能登半島広域観光協会」では独自の復興計画づくりを進めていると聞く。また、震災遺構として地震の傷あとを保存する動きもある。能登半島が以前のような姿を取り戻すよう、観光業界も引き続き関心を寄せていきたい。


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