
米国とカナダの企業出張マネージャー約200人を対象としたオンライン調査で、旅行管理会社(TMC)に対する課題が浮き彫りになりました。
この調査では、「サービスの一貫性に欠ける」(41%)、「技術機能が不十分である」(36%)といった不満が多く挙げられています。
調査は2024年3月に、法人旅行管理を専門とするDirect Travel、旅行サービスプラットフォームのSpotnana、会議計画専門のTroop、そしてGlobal Business Travel Association(GBTA)によって共同で実施されました。
「The Perfect Business Trip(理想の出張)」と題されたレポートによると、出張コストの上昇(89%)や予約時の煩雑さ(57%)を背景に、全体の28%の旅行マネージャーがTMCの変更を検討していることがわかりました。
Direct TravelのCEOであるChristal Bemontは、「これは目覚ましの警鐘というだけではありません。マネージドトラベル(managed travel = 出張管理規定がある出張)の未来がすでに動き始めているというサインです。旅行マネージャーは、今のニーズに対応し、将来の課題を見越した、賢くつながったソリューションを求めています」と述べています。
会議と経費処理に関する課題も明らかになりました。
会議の66%はTMCの管理外で行われており、80%のマネージャーが「会議と出張のプログラムは部分的にしか、あるいは全く統合されていない」と答えています。
経費に関しては、55%が「領収書の自動読み取り機能を望んでいる」とし、48%は「必要なデータが欠落することに苦労している」と答えました。
また、64%の旅行マネージャーが「予約変更やキャンセルの対応に課題がある」と答えており、NDC(New Distribution Capability)によるセルフサービス変更に対応しているTMCはわずか13%にとどまっています。
TMCに対する要望としては、以下のようなものも挙がりました:
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会議の運営と参加者の移動を一元管理できるプラットフォーム(62%)
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AIによる検索結果の表示(45%)
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TMCとオンライン予約ツールのより良い連携(63%)
この調査は、Direct Travelが提供する「Avenir Travel Edition」の一環であり、Spotnana Cloud上に構築されています。
Bemontは、「Avenirは、グローバルな旅行コンテンツ、自動化、手厚いサポートを統合し、シームレスな体験を実現するよう設計されています。スマートテクノロジーと信頼できるサポートを組み合わせることで、出発から帰着まで、理想の出張(perfect trip)を提供しています」と述べています。
同社によりますと、このプラットフォームは、NDCやGDS(グローバル流通システム)、直販コンテンツを効率的に取り扱い、旅行者にリアルタイムのセルフサービス機能や24時間対応の専門サポートを提供するほか、コンプライアンスの向上や手作業の削減にも役立つとのことです。
なお、Direct Travelは2024年4月に、Concurの創業者でありベンチャーキャピタリストのSteve Singhによって買収されました。Singhは現在、SpotnanaのCEOを務めており、Troopへの出資者でありエグゼクティブ・チェアマンでもあります。
Singhは「perfect trip」というビジョンを掲げており、昨年のPhocuswright Conferenceでは、「新しいテクノロジーが法人旅行にもたらす可能性にとてもワクワクしている」と語っています。今年4月には、法人向けゲスト出張の予約・経費管理ツール「Juno」へのシード投資ラウンドも主導しました。
【記事提供:業界研究 世界の旅行産業】