人手不足問題を説く 有馬温泉観光協会 藻谷氏が総会で講演


聴衆を巻き込みながら講演する藻谷氏

 有馬温泉観光協会(会長=金井啓修・御所坊社長、179会員)は20日、ありまホール(兵庫県神戸市)で2025年度の会員総会を開いた。25年度の事業等を承認。日本総研主任研究員の藻谷浩介氏による特別講演会を行い、日本のインバウンド市場や人口減少に関わる数字の読み解き方、今後、日本の観光業界が取るべき方針などについて学んだ。

 総会の冒頭あいさつした金井会長は、新規参入を希望する事業者への景観規制や温泉利用についての説明資料の整備、ウェブサイトへの掲出の方針などを説明。その上で、「有馬の最近の一番の問題は人手不足。そこで今日は藻谷浩介さんに元気の出る話をしてもらおうと考えた。何かヒントをつかんで帰っていただけるはず」と述べた。

 総会の第1部では、昨年度事業の報告を行ったほか、今年度事業と予算を承認した。2025年度は、SDGsへの取り組みとして、「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録に向けた取り組み、南海トラフ地震等を視野に安心、安全な観光地づくりを進める。観光客誘致促進、宣伝事業では、ウェブサイトや新聞広告などを使った広報のほか、新たにデジタルマップを活用したタイムリーな情報発信も進める。

 2部では日本総合研究所調査部主席研究員の藻谷浩介氏が「持続可能な地域づくりに必要なこと~最大の脅威 人手不足にどう対処するか~」をテーマに特別講演を行った。

 藻谷氏は日本の少子高齢化について、地域別の年齢構成比を示した上で、過疎地から先に高齢者の増加が止まり、若者世代を受け入れることに成功した一部過疎地で子どもが再増加し、都会よりも先に再生に向かうとの見解を紹介。2050年には、世界は少子高齢化の真っただ中だが、日本の地方の一部で子どもが再増加するとした。その上で「世界的に労働力不足と需要数量減少が起きるが、観光は高齢者市場の拡大で、需要減少は回避できる。人手不足はAIやロボットで補うと同時に、接客や手仕事の価値は上がってくる」「値上げによる増収、賃上げを実現できないところは行き詰まる。増収のためには、今後、同じものを大量にではなく、違うものを多種多様に、質による利益の追求が必要だ。全国に個性的な風土があり、インフラが整っている日本だからこそ、『地元独自の価値』により、違いを生み経済を変えていくことができるはずだ」と訴えた。


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