
営業利益149億円 計画値達成も減益
JTBは5月23日、2024年度(24年4月~25年3月)のJTBグループ連結決算を発表した。売上高は2期連続で1兆円超えとなる前年度比1%減の1兆733億円。部門別の売上高は、国内旅行が前年度を下回ったが、海外旅行、訪日旅行、日本以外の発着の旅行が前年度から伸びた。営業利益は、固定費の削減などで計画値を達成したが、コロナ禍で削減していた人件費の増加、DXへの投資拡大などで、同51%減の149億円。純利益は同61%減の86億円となった。
部門別の売上高(カッコ内は前年度比)は、国内旅行4360億円(6%減)、海外旅行2243億円(41%増)、訪日旅行622億円(14%増)、第三国間旅行(日本以外発着)1118億円(27%増)、MICEや商事などの旅行以外2390億円(25%減)。
国内旅行は物価高の影響などで前年比減。海外旅行はコロナ禍から一定の回復。訪日旅行は、オンライン個人販売とツアー受注で増加。第三国間旅行は、欧米、アジアの市場拡大を捉えて取り扱いを伸ばした。
事業・領域別の売上高(カッコ内は前年度比)は、ツーリズム事業6758億円(7%減)、エリアソリューション事業988億円(5%増)、ビジネスソリューション事業1287億円(8%減)、グローバル領域2591億円(34%増)。
グローバル領域では、パリ五輪などの世界発フランス着の取り扱いや、アジア、米国から欧州への旅行の取り扱いが増えた。シートインコーチ(コース組み合わせ自由のバスツアー)事業では、中南米発欧州方面行きの需要を獲得したほか、日本市場向けの欧州周遊バス商品「ランドクルーズ」の販売が拡大した。訪日インセンティブ旅行を含むMICE需要の取り込みも拡大した。
営業利益については、前年度に対して減益となったが、計画(116億円)比では28%増となった。店舗改革や人員の最適配置、DXによる業務効率改善などを進めた事業構造改革の成果があらわれたとしている。
決算発表に伴う記者会見でJTBの山北栄二郎社長は「2024年度は、世界の人流がさらに活発化し、グローバルにおける事業が大きく成長した」と述べ、将来を見据えてグローバル領域の事業を拡大していく考えを示した。また、グローバル人財の確保やDXへの投資といった事業構造改革では、「JTBグループの未来を築く上で不可欠。今後の成長の原動力になる」と説明した。
25年度通期の見通しは、売上高1兆2980億円、営業利益120億円。25年度の事業展開について山北社長は「引き続き事業構造改革と未来の成長のための人財投資、DX、AIの実装化などの先行投資を続け、日本、グローバルでの事業拡大を加速させていく」と述べた。