
国土交通省とカリフォルニア州運輸省は5月21日、米国カリフォルニア州ロサンゼルス市の全米日系人博物館で「鉄道の脱炭素フォーラム」を共同開催した。2024年6月に両省が締結した「鉄道交通の整備支援に関する覚書」に基づくもの。日米間の鉄道分野における協力関係の推進と脱炭素化の更なる加速を目的にしており、両地域の政府関係者や鉄道事業者、メーカー、研究機関などが参加した。
開会挨拶では、カリフォルニア州運輸省のトックス・オミシャキン長官が「日本はよりクリーンな交通の未来を目指すために欠かせないパートナー」とコメント。一方、国土交通省の田中由紀国際統括官はビデオ・メッセージで「鉄道はカーボンニュートラル、そしてその先の脱炭素社会の実現に当たって大きな役割を果たす存在であり、日本とカリフォルニア州が有する鉄道分野の知見や技術を共有し合うことで、脱炭素社会の実現に向けた着実な進展につながることを期待している」と話した。

(左から)オミシャキンカリフォルニア州運輸長官、登壇した国交省鉄道局国際課長の小林伸行氏、田中国交省国際統括官
フォーラムでは、国交省が「鉄道分野におけるカーボンニュートラル加速化検討会」の最終とりまとめに基づいた鉄道事業そのものの脱炭素化や鉄道アセットを活用した脱炭素化、鉄道利用を通じた脱炭素化の推進について発表。カリフォルニア州交通局からは「2024年カリフォルニア州鉄道計画」を策定し、2050年までに州内全体を結ぶゼロ・エミッションの鉄道網の構築を目指していることについて発表があった。
このほか、鉄道分野の脱炭素化に向けた民間事業者の取組として、両国の参加者が水素燃料や蓄電池を活用した車両の開発状況、高速鉄道建設に係る環境負荷低減の取組、公共交通指向型都市開発の現状等について発表。発表終了後には、それぞれのテーマに沿って質疑応答やディスカッションをおこなった。