【観光経済新聞創刊75周年特集】観光経済新聞100年への提言 西村屋社長 西村総一郎氏


西村屋社長 西村総一郎氏

 創刊100年に向け、本紙の進むべき道とは何か。長年本紙と深く関わられてきた識者や経営者、これからを担う経営者に、本紙に期待する、果たすべき役割について、提言を頂いた。

「観光の力」による地域課題解決の寄与に期待

 私が家業である旅館業に携わるようになったのは2000年11月で、間もなく四半世紀が過ぎようとしています。その間、インターネットの普及で宿泊予約の流通経路が多様化し、ここ十数年ではインバウンド市場が大きくなってきました。変わりゆく環境の中で、私にとって貴紙は常に時代の一歩先をにらんだ論説やさまざまな地域での先進的な取り組みに関する情報を入手する一つの手段となっていました。

 現在観光産業を取り巻く状況は加速度的に変化しています。これからの日本を支える成長産業・基幹産業となることが期待される一方、人口減少による人手不足や物価高騰がコロナ禍で大きな影響を受けた観光産業復活の弊害となっています。観光産業には今まで以上に革新的な取り組みや成功事例の共有、展開が必要になってきます。

 私が旅館を営んでいる城崎温泉がある豊岡市も同様に厳しい状況です。2010年と2040年予測の人口を比較すると、65歳未満は半減、65歳以上はほとんど変わらず、人口比は1対1となります。また、子供の数の減少は特に深刻で、城崎温泉のエリアにある小・中学校と隣の校区の小・中学校4校を足すと児童生徒数は2015年で420人、2035年予測は200人となります。また医療資源の確保が大きな問題となってきており、地域の開業医の平均年齢は10年前からそのまま10歳上がり、70歳ぐらいとなっています。人口が減る中では市の財政も傷んでおり、反転攻勢するための投資的経費を捻出することが難しくなっています。

 観光産業の効果的な取り組みはもちろんのこと、観光地経営としての取り組みや好事例を深掘りし、今後の地方創生・地域創生の一助となる役割を貴紙にはぜひとも果たしていただきたいと感じております。

 私は常々旅館と地域は切っても切り離せず、一蓮托生(いちれんたくしょう)と申しています。旅館の使命というのは持続可能な地域社会創造の一助となること、そのための手段として私は城崎温泉を世界的な観光地に昇華させようと目標に掲げています。

 今後も貴紙が観光産業や観光地の発展、そして「観光の力」によるさまざまな地域課題解決に寄与していただくことを期待しています。

西村総一郎氏
西村総一郎氏

 
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