
『私たちが創るミライのリョカン』の表紙
夢のある宿泊業へ
日本旅館協会(桑野和泉会長=大分県・由布院玉の湯)はこのほど、冊子「私たちが創るミライのリョカン」を作成した。2022年度から2年間活動した協会の「未来ビジョン委員会」による、「宿泊業に携わる全ての人にとって夢のある未来の構築」に向けた提言書。「旅館を未来へ導くビジョン」として、「持続可能性を経営判断の最重要項目に」「地域との関わりをもっと深く密に」など六つを示した。
大西雅之前会長(北海道・鶴雅グループ)時代に活動した未来ビジョン委員会(相原昌一郎委員長=静岡県・新井旅館)が、昨年6月6日の通常総会で発表した内容を冊子に詳しくまとめた。3千部を作成し、全会員と関係省庁、金融機関、宿泊・観光関連団体などに配布した。
冊子はA4判、60ページで全5章建て。第1章「『観光』の立ち位置を識(し)る」では、03年の「観光立国宣言」以降の国内の観光動向、第2章「『旅館』に『未来』はあるか」では、宿泊業が置かれている現在の状況を各種の数値から分析した。
『私たちが創るミライのリョカン』の表紙
提言では、観光立国宣言、観光立国推進基本法の成立(06年)、観光立国推進基本計画(第1次)の閣議決定(07年)など、観光・宿泊産業が今後の日本経済をけん引する主力産業となり得る状況になったと指摘。
ただ、施設数や客室数が年々減少するなど、旅館がビジネスホテルなどに比べて顧客から選ばれない施設になっているほか、平均給与額、有給休暇取得率なども他業界に比べて低く、「現状変更を行わないのであれば、『旅館に未来はない』と言える」と結論づけている。
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