【EXPO2025特集】日本みどりのプロジェクト推進協議会、万博でイベント 自然生かした観光を議論


「One Green in EXPO」の登壇者ら

「One Green in EXPO」の登壇者ら

 日本みどりのプロジェクト推進協議会(会長=阿部守一・長野県知事)は7、8日の両日、大阪・関西万博のフェスティバル・ステーションで、「One Green in EXPO2025」を開いた。森林を生かした持続可能な地域、未来づくりや、自然を生かした観光などについて、自治体の首長らが参加してのセッションを行ったほか、対話型、参加型のワークショップを行い、万博来場者への提案、理解浸透を図った。

 日本みどりのプロジェクト推進協議会は、「自然を愛し、深く理解し、活用し守る。」を基本理念に、大阪・関西万博での、国内の自然や木材の活用、「日本の自然のショーケース」としての情報発信などを目的に創設。万博での情報発信に加え、都道府県や関係企業、団体が参画し、自然(みどり)を核にした新たな旅の提案や、植樹や都市緑化の推進、国立・国定公園などでの保護と利用の推進に取り組んでいる。

 7日の全体シンポジウムでは、阿部会長が冒頭で登壇し、「日本に根付いている自然と共に生きる姿勢、『緑の文明』を世界に発信することで、課題に満ちた世界に明るい未来を示すことができる」とあいさつ。次いで会員企業を代表して、日本旅行の小野谷悦光社長が登壇。同社が販売するカーボンオフセットプランや、環境配慮型の旅行商品ブランド「GREEN JOURNEY」などを紹介した。

 続くセッション(1)では「地域の魅力~持続可能な地方、未来に向かって~<森林を活かした持続可能な地方・未来づくり>」をテーマに、青山豊久・林野庁長官、濵田省司・高知県知事、溝畑宏・大阪観光局理事長が発表と意見交換を行った。このうち青山長官は日本の森林の現況を概説した上で、国産材活用の意義を説明。近年増加しつつある木造ビルの事例などを紹介した上で「これからの時代は木造を選ぶことで温暖化防止に貢献できる。木造ビルを選ぶことが企業の姿勢を示すことにもなる」と指摘。濵田知事は同県の林業振興策や林業従事者が横ばいで推移していることなどを説明。国産材の需要拡大を後押しする、木造建築への税制面や建築条件面での優遇策などの必要性を挙げた。溝畑理事長は世界の都市の緑化トレンドなどを紹介した上で、林業のブランドイメージの向上や、6次産業化による稼げる仕組みづくりの重要性を訴えた。

 セッション(2)では「未来に求められる自然を活かした観光」をテーマに、植田明浩・環境省自然環境局長、長﨑敏志・観光庁観光地域振興部長、阿部守一・長野県知事、平井伸治・鳥取県知事が取り組みなどを発表した。このうち持続可能な観光などの取り組みを説明した長﨑氏は、「自然資源に行かない、見ない、触らないことが保全なのか。活用して好循環とすることが大切だ」と指摘。植田氏はアドベンチャートラベルへの環境省の取り組みなどを紹介した上で、「尾瀬など人の手が加わらない方がいい場所もあるが、国立公園エリアの半分近くは、人の手が加わることで守られてきた2次林、2次草原。いかにして人の手を入れながら保護と利用を行っていくかが重要だ」と語った。

「One Green in EXPO」の登壇者ら
「One Green in EXPO」の登壇者ら

 阿部知事は同県が導入を決めた宿泊税に触れ「観光客向けのサービスの充実には財源が必要。インバウンド客が増加する中で、観光客に直接税負担をいただくことで、環境保全や観光コンテンツの充実を図っていかなければ、経済の好循環は生まれない」と述べた。

 シンポジウムの最後には、同協議会の副会長を務める、溝畑理事長が「One Green宣言」を発表。同シンポジウムを契機に、日本の豊かな緑との共生、発信に取り組み、世界の脱炭素社会の実現に貢献することや、国内の森林資源の利活用の活性化に取り組むこと、防災・減災機能を持つ森林の整備を促進して安心・安全な地域社会の構築に寄与することを宣言した。

 8日にはプロジェクト会員自治体による観光PRイベントを行ったほか、SDGsや森林、木材活用など「自然由来の未来社会」を提案する対話型ワークショップと、木工体験を中心とした自然素材に触れる体験型ワークショップを行った。

 
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