【この人と60分】興国寺で修行するフランス人僧侶 風神さん


風神さん

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 ◎…和歌山県由良町の臨済宗妙心寺派興国寺。法燈国師を開山として、鎌倉時代には法燈派の大本山として全国に知られた古刹(こさつ)だ。法燈国師が宋から伝えた金山寺味噌(みそ)は有名だが、虚無僧や普化尺八も興国寺が発祥。その寺で昨年から、仏人の女性僧侶、風神さんが修行している。

 ◎…風神さんの本名は、フォマルス・アタレ。フランス・ストラスブールの音楽一家に生まれた。幼いころからフルートを学び、米国・ニューヨークに留学して音楽に打ち込んだ。転機となったのは、合気道をきっかけとした禅との出会い。自らの内面と向き合える禅の道にのめり込み、30歳で修行を開始。32歳で僧になり、嶋野栄道老師からフルートにちなんだ「風神」の名前を授けられた。岐阜県の正眼寺での修業や正眼短期大学で教壇に立つ生活を経て、興国寺での修行生活に至る。

 ◎…多くの修行者を迎え入れてきた興国寺。歴史を感じさせる伽藍(がらん)は壮観。法燈国師の座像が見下ろす禅堂も備える。だが「開山さん」として初詣などではにぎわうものの、普段は檀家以外の訪問者は少なくひっそり。風神さんは少しさみしさを感じているという。

 ◎…月2回、1時間程度の座禅会を開いている。50代以上の参加者が中心だが、多い時には15人以上集まる。希望があればグループにも対応する。「禅の心を皆さんと分け合うのも修行。ぜひ若い日本人に足を運んでもらって、本来の日本文化の価値を感じてほしい。外国人にも禅の心を伝えたい」。

 ◎…最近、町内の書道教室に通い始めた。生徒仲間のたわいもないおしゃべりを聞くのが楽しい。教室の先生が寺に散歩に来てくれるようになるなど、新しいつながりも生まれた。「たくさんの人が興国寺に興味を持つきっかけづくりができれば」。63歳。

風神さん
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【関西支局長・小林茉莉】

 
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