
関西空港での記念イベントの様子
廃食用油で飛ぶ飛行機がついに実現―。日本航空(JAL)と日揮ホールディングス(HD)、関西エアポートなどが共同で推進するプロジェクト「Fry to Fly Project」の一環として、廃食用油を原料とする国産SAF(持続可能な航空燃料)の旅客便への供給が始まった。1日に関西空港で開かれた記念イベント=写真=では、SAFが供給された初便の出発を関係者らが見送った。
第1号となったのは、同日関西空港発、上海(浦東)行きのJL891便。同空港での旅客便へのSAF供給も今回が初めてとなった。
供給したSAFは、日揮HDなど3社による合同会社が大阪府堺市のコスモ石油堺製油所構内で量産したもので、ISCC CORSIA認証(持続可能な製品の国際的な認証)を取得している。昨年12月に日本初の大規模製造設備が完成し、今年4月から本格供給が始まったことで、国産SAFの安定供給に向けたサプライチェーンが本格稼働した。
SAFは従来のジェット燃料と同様に航空機にそのまま使用でき、製造から使用までのライフサイクル全体でCO2排出を最大80%削減する効果が期待できる。同プロジェクトには200を超える企業やホテル、自治体などが参画し、廃食用油の収集や教育活動を通じて脱炭素社会の実現に向けた取り組みを続けている。航空業界では、国際民間航空機関(ICAO)が2050年までにCO2排出を実質ゼロにする目標を掲げており、JALもSAFの普及や利用拡大を目指す方針だ。
関西空港での記念イベントの様子