日本が注目の旅行先、為替変動が消費に影響  マスターカード、2025年の旅行動向を発表


 マスターカードは5月16日、2025年の旅行動向に関する最新レポート「Travel trends 2025」を発表した。東京と大阪が世界の夏の注目旅行先ランキングでそれぞれ1位と2位を獲得。アジア太平洋地域の8都市がトップ15入りを果たした。

 レポートによると、為替レートや地政学的状況が旅行行動に影響を与える一方で、情熱や目的意識に基づく動機が引き続き旅行業界を形作る主要な要素となっている。Mastercardが保有する匿名化・集計済みの取引データに加え、外部のデータソースも活用した独自分析により、現在の消費者の旅行選択に影響を与えている要因が明らかになった。

 アジア太平洋地域の動向としては、日本が旅行トレンドのトップに躍り出た。東京と大阪が世界の注目旅行先ランキングでそれぞれ1位と2位を獲得し、いずれも過去と比較して観光需要が最も大きく伸びた都市となった。また、ベトナムのニャチャンが美しいビーチや魅力的な海岸線、活気あふれるナイトライフを背景に注目度が急上昇し、新たにランキングに登場した。

 中国とインドは引き続きアジアの旅行大国としての地位を維持。中国人旅行者は「コストパフォーマンスの高い国」や「ビザ取得が容易な国」を重視する傾向が強まっており、日本、マレーシア、シンガポールなどが人気の渡航先となっている。一方、インドは2024年に過去最多となる海外旅行者数を記録。アブダビ、ハノイ、バリといった多様な旅行先を訪れている。

 為替変動が旅行需要に与える影響も顕著だ。2024年を通じて円安が続いたことで、日本のインバウンド観光は大きく押し上げられた。特に中国本土からの旅行者に関しては、人民元に対して円が1%下落すると、訪日観光客が約1.5%増加する傾向が見られた。シンガポールからの訪日需要も過去最高を記録。米国に関する分析では、インド、シンガポール、韓国、台湾からの旅行者が為替変動に特に敏感であることが示された。

 出張のスタイルにも変化が見られる。企業は海外出張を控え、より近距離の地域内出張を優先する傾向にある。出張回数自体は減少しているものの、1回あたりの滞在期間は長期化。米国発のアジア太平洝地域への出張は、平均滞在日数が8.8日から10.2日へと延びている。

 Mastercard アジア太平洋地域チーフエコノミストのデビッド・マンは「アジア太平洋地域は、依然として世界の旅行市場をリードしており、東京、上海、ソウル、シンガポールといった活気あふれる都市が、世界中の旅行者の関心を集めている」と述べている。また、「不透明な経済環境が続く中にあっても、旅行は依然として明るい兆しを見せており、有意義で価値のある体験を重視する傾向が強まっている」と分析している。

 
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