
否定的な声も多かった万博だが、いざ開幕すると多くの人が足を運んでいる
13日、大阪・関西万博は開幕から1カ月となった。来場者数は当初の想定こそ届いていないが、連日にぎわいをみせている。「会期後半が本番」という声も出ており、混雑や暑さ対策などに加え、観光面では周辺にどう誘導するか、外国人に各地の魅力をどう伝えるかが課題といえそうだ。
日本国際博覧会協会によると、開幕からの累計来場者数(5月10日時点)は290万4884人(うちスタッフや報道関係者などAD証入場者数48万5375人)。協会は会期中に2820万人の来場を想定している。1日平均で15万人が訪れる計算となるが、まだ一度も達成していない。
しかし、1990年の花博や2005年の愛知万博など、過去の万博では会期後半にかけて大幅に増加することも多かったため、夏休みがある8月以降が本番との見方が強い。
DX&マーケティング事業を展開するナイルが、万博に来場した全国の10~60代の男女550人を対象に満足度などを聞いたところ、50.2%が「とても満足した」と回答。「ある程度満足した」を合わせると9割弱に達した。
現地で取材すると「アクセスが悪い」「飲食の値段が高い」「予約がとれない、面倒」など不満の声も聞くが、総じて評価は高い。広い会場だけに1日では回り切れず、「機会があればまた来たい」(関東在住の女性)という声も少なくなかった。
海外からの来場者は約350万人と想定されており、大阪市だけでなく、周辺地域でも観光需要の増大が期待されている。どう取り込むか、観光業界の腕の見せどころだ。一方で、京都など有名観光地はオーバーツーリズム状態で、観光関係者からは「これ以上増えてほしくない」という本音も漏れてくる。
淡路島観光協会は、万博を訪れた観光客に淡路島にも足を延ばしてもらおうと、3月2日から島内周遊のための「淡路島スマートパスポート」を販売している。初の取り組みだ。
淡路ワールドパークONOKOROや淡路ファームパークイングランドの丘など31の観光施設を1日もしくは2日間、定額で入場したり、飲食サービスを受けたりすることができる。1日券は2600円、2日券は3900円。
利用期間は10月31日までだが、利用者の反応もいいことから、万博終了後も続けられるよう検討する方針だ。
周辺地域はともかく、東北や九州など遠隔地に呼び込むのはなかなか難しいようだが、JTBとJALは日本各地に誘客する共創プロジェクトに取り組んでいる。その成果に注目したい。
否定的な声も多かった万博だが、いざ開幕すると多くの人が足を運んでいる