
大阪・関西万博に出展しているハンガリー館=写真=を1日、訪ねた。「没入型体験 ひとつの世界、ひとつの心」をテーマに、建物は同国の草原、森を想起させるデザインで、木をふんだんに使っている。
館内はハンガリー産品を販売するギフトショップ、郷土料理とワインを楽しめるレストラン&バー、民族音楽と文化を体験する没入型展示空間(没入型ドーム)、多目的スペースがある。
ガラスのアート作品など見どころも多いが、圧巻は没入型ドームでハンガリー民謡のパフォーマンスが行われる没入型展示空間。純白の衣装に身を包んだ歌い手の生の歌声と演奏は静かな感動を呼ぶ。
公式ガイドブックによると、ハンガリーは面積約9万3千平方キロ、人口約960万人の内陸国。中央ヨーロッパに位置し、ドナウ川が国土を横断する。首都はブダペスト。
ハンガリー館
ハンガリーの政府観光局にあたる「ビジット・ハンガリー」のCEO、チェンデシュ・オリバー氏(44)に話を聞いた。
――来館者の状況は。
「思った以上です。私たちはハンガリーの自然の美しさ、文化や建築遺産、そして美食の魅力を、より多くの方に知っていただきたいので、たくさんの方に足を運んでいただき、大変うれしいです」
「中でも、伝統的なハンガリー料理やワインを提供するレストランとワインバーの人気は想定を上回っており、来場者数は当初の予想の2倍に達しました」
――特徴は。
「多くのパビリオンはVRや映像を駆使して近未来にスポットをあてていますが、われわれは過去、伝統を通じて未来の架け橋になることを目指しています。私たちの民族音楽や伝統文化を紹介する没入型ドームでは、来場者の皆さまが光の演出やライブパフォーマンスを通じて、ハンガリーの伝統文化を間近に体感していただける仕掛けとなっています」
「単に知識としてふれるだけでなく、心に残る特別な体験としてお楽しみいただけることを願っています」
――ハンガリーを訪れるとしたら?
「首都のブダペストですね。ブダとペストという町の真ん中にドナウ川が流れ、川沿いの景観やブダ城地区、アンドラーシ通りはいずれもユネスコの世界遺産に登録されています」
「また、国会議事堂やオペラ座といった建築物も世界的に知られており、ハンガリーの魅力の一つです。さらに、ハンガリーの温泉も多くの訪問客に親しまれ、日本との文化的な共通点といえます。魅力は一言では言い表せません(笑い)」
――ハンガリーの観光客数は。
「昨年、ハンガリーを訪れた観光客は1800万人を超え、延べ宿泊数は約4500万泊に達しました。ブダペスト国際空港の年間利用者数も1800万人近くにのぼり、観光地としてのハンガリーの高い人気を示しています」
「日本からの旅行者は約4万人で、延べ宿泊数はおよそ10万泊。日本は東アジア地域におけるハンガリーの観光市場として、3番目に大きな送客国となっています。近年、同地域とブダペストを結ぶ航空路線が急速に拡充されており、日本からの旅行者数も着実に増加しています」
「ハンガリーは大阪・関西万博への参加を通じて、こうした流れにさらに弾みをつけ、日本からの観光需要の一層の拡大を期待しています」
――日本は初めてですか?
「これまで東京、広島を訪れています。大阪は初めてです。日本の色というのか、街全体がとてもカラフルで素敵ですね。また、いろんな顔があります。そして、何より皆さんがとても親切だということ。日本の食も気に入っており、すしや神戸牛、そして黒ゴマの餅などが印象に残っています」
――大阪に総領事館を開設するようですね。
「東京に大使館がありますが、年内をめどに大阪に総領事館が開設される予定です」
オリバーCEO
【聞き手・内井高弘】