
琵琶湖疏水施設が初の近代土木構造物の国宝に
文化庁は16日、文化審議会の答申を受け、1件の建造物を国宝に、8件の建造物を重要文化財に新たに指定することを発表した。今回の指定で、国宝・重要文化財(建造物)は計2,597件、5,569棟となる見込みだ。
注目すべきは、琵琶湖疏水施設が近代の土木構造物として初めて国宝に指定されたこと。滋賀県大津市と京都府京都市に位置する琵琶湖疏水施設は、第一隧道ほか3所1基が対象となった。明治中期に築かれたこの施設は、当時の土木技術の粋を集めて建設され、世界的に高い評価を得た類まれな構造物だ。舟運、灌漑、防火、発電、水道といった多岐にわたる機能を果たし、明治日本における都市基盤施設の金字塔として位置付けられている。
重要文化財に指定された8件のうち、7件が近代以降の建造物だ。これは、近年の文化財保護行政が近代化遺産の保存にも力を入れていることを反映している。
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