
2025年4月13日、大阪・関西万博がついに開幕した。
SNSでは「#万博ホテル」「#関西旅行」などの投稿が連日トレンド入りし、検索回数も大幅に上昇。関西圏の観光業界は活況を呈している。
だが、この盛り上がりは関西圏に限られた話ではない。全国の観光事業者にとっても、近隣でビッグイベントが開催された際の波及効果や対策を学ぶ絶好の機会だ。
本稿第348回では、2005年の愛・地球博を例に、大阪万博でも来場者数が右肩上がりになる可能性を紹介した。今回はその予測を踏まえ、実際の集客戦略にどう生かすかを掘り下げていきたい。
まず注目すべきは、”検索”と”予約”のタイミングだ。現代の旅行者は、「行こう」と思った瞬間にスマートフォンで検索し、宿泊予約までを即座に済ませるのが一般的。つまり、検索にヒットする導線を事前に用意しておくことが、集客の成否を左右する。
例えば、「万博から30分で行ける温泉宿」や「万博帰りに寄れるグルメ旅館」など、”イベント×目的地”のキーワードは検索において高い訴求力を持つ。これらのキーワードを公式サイトのタイトルやメタ情報に反映するだけでも、検索流入は大きく改善できる。
またSNSでは、「#万博旅」「#expo2025stay」などのハッシュタグ活用が認知拡大に有効だ。
さらに、訪日観光客を視野に入れた多言語対応や、ファミリー層・若年層向けの商品プランの販売も効果的である。
さらに、万博のような大規模イベントでは、会場周辺での”周遊”や”延泊”が自然に発生する傾向がある。この動きは全国でも応用可能であり、地元の観光施設・交通機関・自治体と連携することで、「イベント+広域周遊」の導線をつくり出し、地域全体の活性化につなげることができる。
万博の波は、半年間にわたり続く。
全国の観光事業者は、これを”遠くの話”と傍観するのではなく、自分たちの地域でビッグイベントが開催された時のモデルケースとして捉え、未来の集客につながる仕掛けを今から準備する好機と心得たい。
さて、本編とは関係なく恐縮ですが、本コラムについて次号より弊社取締役本部長の小林義道が担当させていただく形となります。
これまで大変長きにわたり、拙文を読んでいただいた皆さまには感謝申し上げます。
(株式会社アビリブ・株式会社プライムコンセプト) 内藤英賢
(観光経済新聞2025年4月28日号掲載コラム)