
国土交通省は15日、令和7年度「『交通空白』解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト」の「共創モデル実証運行事業」として、全国141件の事業を採択したと発表した。地域の多様な関係者が連携・協働し、交通空白の解消や地域交通の維持・活性化を図る取り組みを支援する。
採択された事業は、北海道から沖縄まで全国各地に及ぶ。AI技術を活用したオンデマンド交通の実証実験や、観光と連携した新たな交通サービスの創出など、地域の実情に応じた多様な取り組みが含まれる。
北海道では、「北海道MaaSプラットフォーム『ぐる旅北海道(仮称)』プロジェクト」が採択された。道内連携デジタルチケット「ぐる旅北海道」による道内地方部での交通利用促進を図る。東北地方では、秋田県男鹿市の「男鹿市乗合タクシー実証運行事業」や、福島県大熊町の「復興を加速する地域交通プラットフォーム」などが選ばれた。
関東地方では、埼玉県羽生市の「羽生市シェアサイクルプロジェクト」や、千葉県市原市の「みんなで未来へつなぐ、笑顔の市原タクシープロジェクト」などが採択。中部地方では、長野県茅野市・原村の「AIオンデマンド交通を活用した身体障害者等外出支援実証プロジェクト」や、静岡県熱海市の「熱海市伊豆山地域における復興まちづくり事業」などが選ばれた。
関西地方では、京都府笠置町・南山城村・和束町の「JR関西本線(加茂以東)沿線地域モビリティ人材育成事業」や、大阪府泉佐野市の「泉佐野市乗合タクシー実証プロジェクト」などが採択。中国・四国地方では、広島県江田島市の「公共交通でカバーできない移動を市民ボランティアドライバーが送迎」事業や、香川県琴平町の「『交通×農業×観光』の地域循環モデルによる琴平町の持続可能な地域交通と商店街再生プロジェクト」などが選ばれた。
九州・沖縄地方では、長崎県新上五島町の「まちなかの交通空白を解消し、歩いて暮らせる『新上五島町回遊性アップ』創出事業」や、沖縄県石垣市の「石垣島周遊バス実証運行〜クルーズ旅客の回遊促進〜」などが採択された。
これらの事業を通じて、地域の特性に応じた新たな交通サービスの創出や、既存の交通資源の有効活用が期待される。国土交通省は、各事業の実施状況を注視し、成功事例 の横展開を図ることで、全国的な交通空白の解消と地域交通の活性化を目指すとしている。
採択された141件の事業は以下の通り。
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