
インバウンド需要取り込みが奏功
森トラストグループは15日、2025年3月期の連結業績を発表した。営業収益は前期比7.1%増の2,816億円と過去最高を記録。好調なオフィス賃貸需要とインバウンド需要の取り込みが寄与し、ホテル関係事業が大きく伸長した。
グループ全体の営業利益は前期比0.3%増の540億円。経常利益は2.0%増の601億円となった。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に計上した不動産販売収益の反動減などにより11.2%減の367億円だった。
ホテル関係事業の営業収益は、前期比20.1%増の797億円と3期連続で過去最高を更新。2024年の訪日外国人客数・消費額が過去最高を記録したインバウンド需要を背景に、東京のラグジュアリーホテルが好調だった。また、24年10月にグランドオープンした「万平ホテル」の稼働も業績に貢献。シティホテル、リゾートホテルともに高水準の稼働率と客室単価を記録した。
賃貸関係事業も堅調で、営業収益は前期比4.9%増の964億円と3期連続で最高を更新。既存オフィスビルの高稼働が寄与した。不動産販売事業は、エスリード株式会社によるマンション分譲が好調だったものの、前期に計上したオフィスビル販売収益の反動減により、前期比0.9%減の856億円にとどまった。
森トラストグループは2026年3月期の業績予想も公表。営業収益は前期比6.5%増の3,000億円と2期連続の最高更新を見込む。ホテル関係事業は、「万平ホテル」や「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」の通年稼働、既存ホテルの好調な稼働に加え、25年1月にグループ傘下となった株式会社浅野屋の収益寄与により、4期連続で過去最高となる850億円の営業収益を予想している。
一方、賃貸関係事業は、「東京ワールドゲート赤坂 赤坂トラストタワー」の新規稼働による増収要因はあるものの、東京都港区の「(仮称)三田三丁目プロジェクト」計画に伴う既存オフィスビル3棟の営業終了の影響により、前期比4億円減の960億円を見込む。
森トラストグループは、2030年度に向けた中長期ビジョン「Advance2030」を掲げ、1兆2,000億円の投資目標と、2030年度の売上高3,300億円、営業利益700億円の目標を設定。不動産事業では競争力の高いエリアへの集中投資や、土地特性を最大化する最適な機能の複合化を進める方針だ。
ホテル&リゾート事業では、ジャパンブランドの発信や国際基準のサービス提供、日本文化と国際基準サービスの融合による新たな価値創出などを通じ、日本の観光先進国化に寄与するとしている。
森トラストグループの伊達美和子社長は「インバウンド需要の回復と既存ホテルの高稼働により、ホテル事業が大きく伸長した。今後も魅力ある観光資源を活かした快適な滞在を提供し、日本の観光産業の発展に貢献していく」とコメントしている。