
藤七温泉彩雲荘の外観
「標高約1400メートル、八幡平の大自然の中で、野趣にあふれる露天風呂につかり、早朝に雲海、岩手山の絶景を眺めながらご来光をおがむ。これが当館に泊まる醍醐味(だいごみ)。雲海は春と秋に出やすい。雲海を見られるまで何度も泊まりに来る方もいる。特に宿泊者専用の露天風呂につかりながらおがむご来光は格別だ」
藤七温泉彩雲荘の阿部孝夫社長はそう話す。湯煙が立ち昇る山奥の一軒宿。昭和3年に開湯、宿は昭和6年に開業。阿部社長は秋田県内の旅館に勤務していたが、19年前に独立して藤七温泉の経営を受け継いだ。
冬季は雪に覆われるため休業する。スタッフによる早春の除雪作業を経て、今シーズンは4月28日に営業を開始した。10月31日まで営業する予定だ。
温泉は、開放感のある混浴露天風呂が5カ所、女性露天風呂が1カ所、加えて宿泊者専用の男女別露天風呂が2カ所、男女別内湯が2カ所。泉質は単純硫黄泉で、源泉から引いた乳白色の湯を掛け流し。混浴露天風呂は湯床からもぷくぷくと湯が湧きだす。
6畳間の和室が基本で計26室。料理は山菜、キノコなど四季折々の地元八幡平の山の幸が中心。全国的には根曲がり竹などと呼ばれる地元のタケノコは、5~6月に出回り、刺し身でも、煮てもおいしい。湯小屋でつくる「温泉黒たまご」も藤七温泉の名物だ。
宿までは盛岡、秋田方面から車で約1時間。盛岡駅からの路線バスと送迎バスを利用すると2時間以上かかるが、長い道のりの先に絶景と温泉が待っている。
「温泉好きの方をはじめ、登山、バイクツーリング、バスツアー、さまざまなお客さまでにぎわう。旅行会社の担当者からは『山奥の質素な宿なのにこれだけ客が集まるところも珍しい』と言われる」(阿部社長)。
【1泊2食付き1万4750円(諸税込み)から】
【公式サイト】藤七温泉 彩雲荘
藤七温泉彩雲荘の外観